終わりのない物語

□タオパパ 4月
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どうやらタオは、また足を痛めたようだ。


親に心配を掛けたくないからか、それとも気不味いからなのか分からないが、タオから詳しい連絡もなく、暫くの間、また安静にしなくてはならないという事だけは分かった。



それから数日して、アメリカに居るタオの友人から、Twitterにこんな写真が出ていたと、心配して連絡が来た。


それは、タオが松葉杖をついて、1人で薬局にクスリを買いに行っている写真だった。




どういう事だ?


タオは、一人きりで放置されているのか?


薬局でクスリを買っているという事は、もしかして病院にも連れて行って貰えないのでは?




写真を見た途端、居ても立ってもいられなくなった私は、すぐに韓国に飛んだ。



空港に着いて、一応事務所に連絡を入れ、そのままタオのいる宿舎にタクシーで向かった。



「パパ!どうしたの、突然!」


「やっぱり1人か」


「そりゃそうだよ、皆はお仕事だもん」



「タオ、また足を痛めたそうじゃないか」


「うん...まさか、それで心配して来てくれたの?」



私の突然の訪問に、タオは喜ぶよりも戸惑っている様だった。



「ここに1人きりで居るんだったら、青島で静養したらどうかと思ってね

食事や身の回りの事なんか、不自由だろう」


「え...でも、ラジオのお仕事とかサイン会とか、座って出来る仕事もあるし...」


「中途半端しないで、しっかり休んだ方がいい

事務所にも連絡しておいたから」




程なくして、事務所から連絡を受けたマネージャーが、慌てて宿舎に駆けつけてきた。


「さっき事務所にも連絡しましたが、暫く息子は実家に連れて帰って、静養させようと思います」


「いや...それは...参ったな...」



「とにかく、タオは支度しなさい」


「えっ、でも...ヒョン?」


「分かりました、私も仕事を調整して後から追っかけますので」


「よろしくお願いします。

さ、タオ、支度を急ぎなさい」




この時はまだ、私もタオも、数日程度の帰省だと思っていた。



だが、青島で病院に連れて行き、医師から診察結果を聞き...


さらに追い打ちを掛けるように、あのニュースを聞き...




親として、息子を守るために、大きな決断をするべき時が来たのではないかと...


そう、思いました。

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