終わりのない物語
□セフン 3月末
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はぁ、はぁ、はぁ、
タオ、もっと走って!追いつかれる!
ぼく達は、一体 何から逃げてるんだろう?
正体は分からないけど、とにかく逃げなくちゃいけないという本能のままに走り続けている。
タオが転んでしまい、繋いだ手が離れてしまった。
その手を掴もうと手を伸ばしても、タオが どんどん遠ざかっていく。
ごめんね、ぼく、もう無理みたい。。。
ダメだよ、早く!一緒に、ぼくと一緒に走って!
ごめん、ごめんね。。。
そのままタオの姿は、暗闇に飲み込まれて消えてしまった。
やだ、タオ!タオ!
はっ...
また、いつもの夢...
何故こんな夢を見るのか分からないけど、何だかとっても不安な気持ちになる夢を、最近よく見るようになった。
不安で眠れなくなったぼくはタオの部屋に行き、ベッドの中で安らかな寝息を立てているタオの姿を確認して、やっと安心する。
そしてタオのベッドに潜り込む。
「ん...?」
ベッドに潜り込もうとする微かな振動で タオを起こしてしまった。
「セフナ...また嫌な夢見ちゃったの?」
「うん...起こしちゃってごめんね」
「いいよ、ほら、おいで」
場所を空けるために横向きになったタオの背中に貼りついて 首筋に鼻を擦りつけてタオの匂いをいっぱい吸い込むと、いつもの匂いに安心して睡魔が訪れてきた。
「それ、擽ったいってば」
ぼくに背中を向けて寝ていたタオは 姿勢を入れ替えて 僕の方を向き、チュッとおでこに軽くキスしてから 僕の頭を胸に抱え込むように抱きしめてくれた。
「これでもう、嫌な夢は出てこないから、安心して眠りなよ」
「うん...」
安心を通り越して、何だか ちょっとムラムラしてきた。
でも、今、タオは足のケガの療養中で安静にしないといけないから、そういう事はしないってお互いに約束したんだ。
もうすぐカムバステージだし。
これから毎日忙しくなると思う。
このムラムラした気持ちをエネルギーに変えて、待ってくれているファンの為に頑張ろうねって、2人で決めたんだ。
そして、カムバの活動が一段落ついたら、その後は、いっぱい いっぱい愛し合うんだから。
その時は寝かせないから、覚悟してよね、タオ。