短編作品集

□チョコレート
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「タオ、ちょっといい?」


タオが部屋でスマホをいじっている所に、セフンが入ってきた。

ドアを後ろ手に鍵まで閉めたりして、何か妖しい様子…


ベッドに座っているタオを、後ろから抱えるように座り

「ねえ、これ食べてみて」

いきなり口元にチョコレートを差し出してきた。


「何?バレンタインに貰ったやつ?

ぼくだって、いっぱい貰ったのがあるけど?」


「いいから、はい、あーん」

セフンの言葉につられて、タオが口を開ける。

そこに、一粒のチョコレートが放り込まれる。



「どう?」


「ん…これお酒が入ってる?でも普通に美味しいよ」


「それね、実は媚薬入りのチョコレートなんだって」


「媚薬?」


「そう…

ねえ、体に何か変化ない?」


セフンに耳元で囁かれて、タオはゾクッとした。



「だんだんと、体が熱くなったりしない?」


セフンに寄りかかって顔を見上げると、ネットリとした視線で見つめられ、タオは何だか体が火照ってきた。



「もう一個食べる?もっと気持ち良くなってくるかも…」


セフンはチョコを差し出し、タオの潤んだ瞳を見つめながら、それをタオの半開きの口の中に滑りこませる。

そして自分も一粒口に入れた。


タオは舌の上で溶けていくチョコを味わいながら、ますます体が熱くなってくるように感じた。

セフンも体が火照ってきた。



吸い込まれるように唇が重なりあい、セフンの舌が、タオの口内をぐるりと舐め回して味わう。

「おいし…チョコの味がする…」



タオの無防備な首筋に鼻をこすり付けて、思いっきりタオの匂いをかぐ。


「んふっ擽ったい…フナ、それするの好きだね」


「うん、タオの匂い好き」


「ねぇ、それよりも…早くぅ」



グイッと引き寄せて、そのまま2人でベッドに倒れ込む。

媚薬の効果なのか、いつもより積極的なタオに、セフンも夢中で何度もタオを求めた。

こうして、2人はいつもより熱い夜を過ごしたのです。




翌朝、ベッドの中での会話


「ところで、昨日のチョコ、どうしたの?

フナが自分で買ったの?」


「ううん、ルアニヒョンから貰ったの

プラ…何とかの効果の実験とか言ってた。」


「プラセンタでも入ってるの?美容にも良いの?」


「プラセンタじゃなかったよ。プラ…シボだったかな?

たぶん、媚薬の名前だと思う。」


「んふふ…昨日凄かったよね

抜かずの3回なんて、初めて…」


「媚薬の効果、あったね」




ドアの外で聞き耳をたてているルハン


「あいつらにはプラシーボ効果 バッチリだったみたいだな

よし、今夜シウちゃんにも試してみよう…」



実は、ルハンがセフンにあげたチョコは、ただの洋酒入りガナッシュを使ったチョコなのでした。




※プラシーボ効果とは…偽薬にも関わらず、本物だと信じることで、薬を服用したのと同様の効果が現れることです。

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