執事シリーズ

□怪盗ルハンの恋愛〜番外編〜
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「ベク!久し振り」


「ミンソク!いらっしゃい!
わー、あんまり変わってないね!」


「ベクも、全然変わってないよ!」



高校卒業以来、久し振りの再会に興奮して、2人で手を取り合ってキャッキャしていると



「オレも居ること忘れてない?」



と、ルハンが苦笑いしてボク達を見ている。



「だって、ルハンとは何度も会ってるし」


「スカイプでは話してるけど、実際に会うのは結構久し振りじゃん」


「そうだっけ?
でもミンソクとは、Exon校を卒業して以来なんだもん!
ルハンは何度も会ってるんだろうけど!

聞いたよ、ミンソク、ルハンと付き合ってるんだって?」


「うん...へへへ」


「良かったじゃん!
やっと落ち着く所に落ち着いたって感じだよ」


「そう?
ありがとうね、ベク」



照れ臭そうに笑うミンソクは、本当に幸せそうだ。

それを見ているルハンの顔は...男前が台無しになるくらいデレデレと崩れている...




今日は、ルハンがミンソクを連れてボクの会社まで遊びに来てくれた。

正確には、ミンソクの国にあるボクの会社の支社に、ボクの出張に合わせて会いに来てくれたんだ。



「仕事の方は、終わったの?」


「うん、今日はもう終了」


「じゃあ、ご飯でも食べに行く?」


「行こうか」



会社のビルの10階はレストランフロアになっていて、和洋中様々なお店が軒を連ねている。



「僕、このビルに来たの初めてなんだ
ベクは、よく来るの?」


「ここの支社は、まだ新しく設立したばっかりだから、ボクも2度目ぐらい
前に来た時は、スタッフとか大勢だったから中華だったけど、美味しかったよ」


「じゃあ、敢えて中華以外にしようか?
ベクも他のお店でも食べてみたいでしょ?」


「ルハンは何食べたい?」


「んー...肉?」


「...却下」



肉を食べたいとか、何となくこの後のミンソクとの夜に備えてスタミナつけるぞ〜
みたいな下心が透けて見えるんだけど...

そういうのは、ミンソクと2人の時に行ってくれよ。



という訳で、無難にカジュアルなスタイルのイタリアンレストランにした。


色々頼んで皆でシェアして食べようと、生ハムのサラダ、カルパッチョ、カプレーゼ、ピザ2種類、パスタ2種類、トリッパの煮込み、チキンのディアボラソース、そしてワインを注文した。



「頼みすぎた?」


「大丈夫、ミンソクは こう見えて大食いだから、残ったもの全部食べてくれるよ」


「僕は身体が資本の肉体労働者だからね
どんなに食べても、すぐにエネルギー消費しちゃうんだ」


「大学卒業して入隊早々、いきなり近衛隊の隊長だもんね
大変だろ?」


「大変さで言えば、大学時代の方が精神的にも肉体的にも、ずーっと大変だったよ
今は隊長と言っても新米だし、逆に隊員に助けてもらってばかりなんだ...
皆いい人達だから、居心地は良いよ」




そうそう、ミンソクは近衛隊員達のアイドルで、特にミンソクの隊は、一個隊まるまる近衛隊じゃなくて“ミンソク親衛隊”って裏で呼ばれてるんだよね

最初にミンソクが隊長に就任するという辞令が出た時は、なぜ新卒者が隊長になるのだと、かなりざわついたらしい。
何しろ近衛隊は精鋭揃いのエリート集団でプライドも高いから...
でも、ミンソクの実力と持ち前の愛嬌で、すぐに隊員たちの心を鷲掴みにしちゃったんだって。


何でそんな事を知っているかというと、世の中には軍服マニアとか、近衛隊の追っかけとか、いろいろな人がいて、そういう人達のページとか交流掲示板とかでミンソクの情報が流れていたんだ。

一応、ボクが運営している“フェイマス・ブック”というSNS上での遣り取りだけど、登録会員は政財界や上流階級の人達に限られているし、ミンソクに対して害は無いだろうと思って今は黙って見守っている。





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