執事シリーズ

□怪盗ルハンの青春
1ページ/30ページ




「はぁ...」


空港で、ルハンから まさかの告白をうけ、思いが通じ合ったことは嬉しい。

でも、どうせならもっと早く言って欲しかった...

そうすれば、もっと...



「はぁ...」


ルハンに抱き締められた感触を思い出すと、身体が熱くなる。

ルハンとのキスを思い出すと、胸が苦しくなる...


さっき別れたばかりなのに、今すぐ会いたいよ、ルハン

今夜は眠れそうもない...


ふと、本棚の卒業アルバムに目が行った。
眠れぬ夜の暇つぶしに、ミンソクは久し振りにアルバムのページを捲り、ルハンとの思い出を辿り始めた。



初めての出会いは、パブリックスクールの入学式だった。


写真の中の僕達は、燕尾服にファルスカラーのシャツ、ベスト、ピンストライプのズボンという伝統的な制服を身に纏っている。
まだ着慣れてないため照れ臭く、そして誇らしげな顔をしているのが初々しい。


新入生は名前のアルファベット順に整列するので、Kim MinSeokとLu Hanは隣同士だ。



ルハンを初めて見た時、ふんわりとカールした明るい栗色の髪、クリクリとした瞳を長い睫毛が縁取り、ツンとした小さな鼻、ツヤツヤの真っ赤な唇...

自分と同じ燕尾の制服を着ていなかったら、女の子と間違えてしまいそうな可愛らしい子、そんな印象だった。

ちょっとドキドキしながら、何か話しかけてみようかな...何て言えばいいのかな...



そんな事を考えていたら、ルハンが鼻をクンクンさせながら、何かを探すように周りを見回して、徐ろに僕の首元に顔を近づけて、スーッと鼻から息を吸い込んで こう言ったんだ。




「君...なんか良い匂いするね」




彼が何の気なしに言った言葉が 頭の中で何度もエコーする。
僕はドキドキして微熱が出たみたいに身体が熱くなった。



あの時から、僕はルハンに対して 自分でも何故だか分からないけど、妙に意識するようになってしまったんだ。



もちろん、今なら分かる。あれが初恋の瞬間だったのだと。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ