執事シリーズ
□怪盗ルハンの青春
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「はぁ...」
空港で、ルハンから まさかの告白をうけ、思いが通じ合ったことは嬉しい。
でも、どうせならもっと早く言って欲しかった...
そうすれば、もっと...
「はぁ...」
ルハンに抱き締められた感触を思い出すと、身体が熱くなる。
ルハンとのキスを思い出すと、胸が苦しくなる...
さっき別れたばかりなのに、今すぐ会いたいよ、ルハン
今夜は眠れそうもない...
ふと、本棚の卒業アルバムに目が行った。
眠れぬ夜の暇つぶしに、ミンソクは久し振りにアルバムのページを捲り、ルハンとの思い出を辿り始めた。
初めての出会いは、パブリックスクールの入学式だった。
写真の中の僕達は、燕尾服にファルスカラーのシャツ、ベスト、ピンストライプのズボンという伝統的な制服を身に纏っている。
まだ着慣れてないため照れ臭く、そして誇らしげな顔をしているのが初々しい。
新入生は名前のアルファベット順に整列するので、Kim MinSeokとLu Hanは隣同士だ。
ルハンを初めて見た時、ふんわりとカールした明るい栗色の髪、クリクリとした瞳を長い睫毛が縁取り、ツンとした小さな鼻、ツヤツヤの真っ赤な唇...
自分と同じ燕尾の制服を着ていなかったら、女の子と間違えてしまいそうな可愛らしい子、そんな印象だった。
ちょっとドキドキしながら、何か話しかけてみようかな...何て言えばいいのかな...
そんな事を考えていたら、ルハンが鼻をクンクンさせながら、何かを探すように周りを見回して、徐ろに僕の首元に顔を近づけて、スーッと鼻から息を吸い込んで こう言ったんだ。
「君...なんか良い匂いするね」
彼が何の気なしに言った言葉が 頭の中で何度もエコーする。
僕はドキドキして微熱が出たみたいに身体が熱くなった。
あの時から、僕はルハンに対して 自分でも何故だか分からないけど、妙に意識するようになってしまったんだ。
もちろん、今なら分かる。あれが初恋の瞬間だったのだと。
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