執事シリーズ

□カイきゅんの執事
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タオちゃんのクラスメイト、カイきゅん
カイきゅんのお父さんは政治家で、お母さんは元歌劇団の男役トップスターで、現在も舞台女優として活躍しています。

そしてカイきゅんの執事、ギョンスは、もともとお父さんの元で政治家を目指して勉強していた、とても真面目で優秀な人です。

そんなカイお坊ちゃまと、執事ギョンスのお話し



カイきゅんは、幼少の頃からバレエを習っています。すぐに才能を認められ、国内最高峰のバレエ団の養成所に通っています。
高校生になったカイきゅんは、ローザンヌ国際バレエコンクール目指して、レッスンに励む毎日です。


「カイきゅーん、今日も素晴らしいわぁ♪」
ちなみに、先生はこのバレエ団の元プリンシパル…もちろん男性です。

「技術的にも、表現力も申し分ないし、ローザンヌに向けて、順調な仕上がりだと思うわよぉ」


「ありがとうございます…」


「欲を言えば、そうねぇ…恋する男の色気、みたいなのが加わると、もっと表現に深みが増すかなぁ」


「恋…ですか…」


カイきゅんは、小さい頃からバレエ一筋で、今まで恋をした経験がありません。
恋するって、どんな感じ?


帰りの車の中で、ギョンスに聞いてみました。
「ねえ、ギョンス…ギョンスは恋したことある?」


「恋ですか?はい、あります。

実は、今も、恋しています。」
そう言って、うっすらと頬を赤らめるギョンス…

ギョンスは誰かに、恋しているのか…
そう思ったら、カイきゅんは、何でか分からないけど、ちょっと胸がチクッとしました。



次の日、学校で、仲良しのタオちゃんとセフンにも聞いてみました。

「タオとセフンは、誰かに恋してる?」


「えー、ひみつー!」


「なんで?教えてよ」


「だって、いつも一緒にいる人だから、好きだって事がバレたら恥ずかしいじゃん」
いつも一緒って…相手が執事のクリスだってバレバレですよ、タオちゃん。


「え!いつも一緒にいる人って、ぼくの事??

ぼくも、ずーっとタオの事が好きだよ!タオ愛してるぅ!」


「はいはい、セフナありがと」

そうなんです。セフンは、タオちゃんのことが大好きで、しょっちゅう愛の告白をしてるのですが、悲しいかな、いつもタオちゃんには軽くあしらわれているのです。

みんな、恋してるんだね…


その日のレッスンの時、カイきゅんは右足首に、本当に僅かですが違和感がありました。
でも特に痛みなどはなく、そのまま普段と変わらずに、レッスンを終えました。

帰りの車で、ギョンスに

「カイ様、右の足首、どうかされましたか?

後でよくマッサージしておきましょうね。」
と言われた。
ほんの僅かの違和感だったし、先生だって気付かなかったのに、ギョンスは気付いてくれたんだ…

何でか分からないけど、胸がドキッとしました。



ある日の夕食後、

「ギョンス、ちょっと付き合って頂戴」
と、ギョンスはお母さんに連れられて、2人で音楽室に篭ってしまいました。

カイきゅんのお家には、お母さんが歌のレッスンをするための、完全防音の音楽室や、カイきゅんがバレエをレッスンするためのダンス室などがあります。


お母さんが音楽室に篭もるのは分かるけど、何でギョンスまで…
もしかして、ギョンスが恋している相手って、お母さんじゃないよね?

カイきゅんは、何でか分からないけど、胸がズキンとしました。


自分の部屋にいると、何だか気持ちが落ち着かないので、カイきゅんはダンス室で踊っていました。
お母さんとの用事が終わったギョンスが、ダンス室の前を通り、暫くの間、踊るカイきゅんを見ていました。
翌日に響かないよう、ほどほどのところで

「カイ様、今夜はこの辺でお休みになって下さい。」
と、声をかけて、カイきゅんを部屋に連れて行きました。


「ねぇ、さっき、お母さんと音楽室で何してたの?」


「あの…申し訳ありませんが、それは申し上げられません…」


「そう…」


本当のことを知るのが何だか怖くて、カイきゅんは深く突っ込めませんでした。

何だか、さっきよりも胸がズキズキします…
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