執事シリーズ

□怪盗ルハンの青春
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「はぁ...」


ミンソクに告白した。

いや、本当はそのつもりでミンソクに会いに行ったのだ。

でも、ミンソクは近衛隊の隊長という立場
もし付き合ったら、自分が怪盗Lだとミンソクにバレてしまう危険が高いと思い、諦めることにしたのに...



「はぁ...」


それなのに、理性が本能に負けてしまった。

だって無理だよ。ミンソクを諦めるなんて...

今後の事は...次に会う時までに考えればいいか。


でも...


さっき別れたばかりなのに、今すぐ会いたいよ、ミンソク

今夜は眠れないかもしれないな。




空港から自宅に戻るタクシーが信号で止まった時、横に並んだバスから賑やかな声が聞こえた。

どうやら、サマーキャンプ帰りの中学生が乗ったバスらしい。


楽しげな様子を見て、自分の学生時代を思い出す...



ミンソクと出会ったのは、中学生の時だった。


入学式で隣に並んでいたミンソクは、小柄で、眉毛が凛々しくて、
でも好奇心いっぱいにキョロキョロ動きまわる猫目と、ふくふくした頬、
そして笑った時にチラリと見える前歯が まるで子リスのようで、
年齢よりも幼く見える、そんな印象だった。



そして忘れもしない、ミンソクの、あの、甘い香り



入学式で学長先生のお話しを聞いている時だった。
何処からともなく、良い匂いが漂ってきたのた。



何だろう?この甘い香りは...



生徒の誰かが付けている香水だろうか?
でも、そういう人工的なものじゃなくて、本能が自然と惹きつけられてしまうような...


無意識に鼻をクンクンさせて、その匂いの元を辿っていた。
すると、すぐ隣りの子から漂ってきているようだった。

彼の首のあたりに鼻を近づけ、スーッと思い切り匂いを嗅いでみる。


見つけた!この子だ。




「君...なんか良い匂いするね」




無意識に口にしてしまった言葉



あの時は、まだ幼すぎて、それが恋の始まりだとは気づかなかったけど...



オレは、多分あの時からずっと、ミンソクに魅了されていたんだ。




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