彼のセリフシリーズ

□俺は断じて赤くなってなどいない!
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私はかなり寝相がいい。よく一緒に寝てたレオリオに一度も文句を言われたこともないし、寝たときと朝起きたときの場所が全く別の場所に移動してるなんてことは絶対ない。寝るときの習慣と言えば、いつも抱き枕を使ってることくらいだ。ゴンにはもちろん蹴られたからダメだったけど。

目が覚めて一番最初に思ったのは、あったかい、だった。そして抱き枕にぎゅっとくっついて、もう一度寝ようとした。そう、いつもの習慣通りに。

「……○○、…○○」
「ん……まだ、ねる…」
「!○○、頼む…起きてくれ…」
「ん…?………ん!?」

抱き枕がしゃべった…!?
それより、そうじゃなくて…!クラピカの声だ!?
思いきり顔をあげると、ものすごい至近距離にクラピカの顔があった。まつげの長さを測れそうなくらい、すくそばだった。

「クラピカ…っ、ご、ごめん…!」
「いや、大丈夫だ…ただ、レオリオに気づかれる前に離れてくれ。穏便に済ませたい。」
「そ、そうだね…く、くっついちゃってごめんなさい…」
「……試験中もお前はこうだったな、誰かに抱きついて寝るのが癖なのか?」
「えっ、誰かって…誰にも抱きつかないよ!強いて言うならレオリオくらいで…」
「………レオリオか」

隣のベッドで気持ち良さそうに寝てるレオリオを一瞥してから、離れてくれって言ってたのに、クラピカは私の体を抱き締めてきた。背中と腰に、ぎゅっと腕を回して。離れかけていたけど、シングルベッドの狭さのせいでそれほど距離を取れてなかった私は、拒否することもできなかった、そんな気持ちもないけど。クラピカ、と呼び掛けることすら私にはできそうになかった。だって、私は、クラピカが好きで、好きな人に抱き締められたら、気持ちが溢れてくるばかりで言葉にもならない。クラピカの体温が熱くて、そんなわけないけど、好きだって言われているような気がしてしまったから。髪にクラピカの吐息がかかっていて、それだけだって息がつまるくらいなのに、急に距離を詰めて唇が寄せられた。思いきり胸が高鳴って、それに好きな気持ちが溢れすぎて、クラピカの肩をきつく握りしめた。それに気づいたクラピカが一瞬で私の体を離して、驚いた顔をしたあと、急激に頬を赤らめた。白雪姫みたい…って言ったらたぶん怒られるけど。

「…白雪姫、とはなんだ」
「えっ、声に出てた!?ご、ごめん…その、クラピカのほっぺが赤くなったから…そ、その、白雪姫に似てるなって…」
「俺は男だからその表現は非常に不愉快だ」
「えっえっ…!?ご、ごめんね…?」
「それに俺は、断じて赤くなってなどいない!」

なんか怒ってる…!一人称が俺になってる…!怖い…けどかっこいい…ダメだ、私。
赤いままの頬で私を鋭く射ぬくように見つめるクラピカは怒ってるんだろうけど、結局私はますますクラピカを好きになるだけだった。

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