彼のセリフシリーズ

□俺の負けのようだ
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何だかんだで最終試験まで残った私って、なんかすごい。だって、一次試験でレオリオとリタイアして帰る予定だったのに。そんなレオリオが最終試験にいるんだから私がいてもおかしくないか、いや、おかしい。

結局何が原因でレオリオが怒ってたかは分からなかったけど、クラピカと合流したときにはもう怒ってなかった。それより何よりものすごく心配させてみたいで、ちっちゃい時以来に抱きしめられてあんまり心配させるなよとかすかに震えてる声で言われたから、私はちょっとびっくりした。そしてやっぱり私もレオリオもお互い大事に思ってることが分かって、私は非常に安心した。けど、そんなサバイバル試験を乗り越えて、私のクラピカに対する想いは急激に膨らんでしまったのである。それは非常にまずいことだった。
だって、最終試験の相手がクラピカだったから。



始まった瞬間に、まいった!って叫ぼうかな…でもそーゆーのクラピカは嫌いそうだし…でもでもまだ対戦表見る限りクラピカのあとにも試合はあるから…だってクラピカのこと蹴ったり殴ったりなんかできないよ、ついでに刃物向けるのもできないよ!……うん、やっぱりすぐに、まいったって言おう、そうしよう。
私が決意した直後、審判がコールをして、私は慌てて口を開いた。

「ま、ま、まいっ…」
「俺の負けのようだ」

流れるように言われた言葉に、目を見開いて驚いた。クラピカが私に負けるなんてありえないから、単純な力の差で言われたわけない。だとしたら…同情…かな…それはちょっとすごい悲しいというか喪失感。

私が呆然と立ち尽くしている間に試合結果は勝手に決められて、クラピカが気まずそうにそばに来て、聞いてほしいと前置きされた。誰にも聞かれたくないのか、耳元で囁くように続けられた。

「俺は、○○を虐げるような真似はできない。脅しでも、嘘でも、お前を傷つけるようなことは絶対できない…だから、許してくれ」

困惑した顔。悲しそうな目。
私だって、絶対できないよ。だからまいったって、言おうとしたんだよ。
それは全部クラピカには伝えられないまま、私のハンター試験は終わってしまった。

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