彼のセリフシリーズ

□頼るなとは言わない
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無人島でレオリオと合流して数時間。私たちの仲は史上最悪と言っていい状態だった。私にはなぜレオリオがそんなに機嫌が悪いのかが分からなくて、なんで感じ悪いの、どうしたの、怒ってるの、と聞きまくった結果、 レオリオが怒った。怒ったと言うより、もう話しかけんな、の一言で終わってしまった。

私にしてみればレオリオがいるからこんな亜熱帯みたいなジャングルまで来たのに、そのレオリオに突き放されたら何もかもが無意味にしか思えなかった。一体何やってるんだろう、こんなとこで。泣きたくなってとぼとぼ歩いて、レオリオから少し離れてしまっていた。それでもレオリオは振り返ってさえくれない。もう大声だして泣きたい、と空を仰ごうとしたとき、急に腕が引っ張られた。よろけそうになる前に、腰に腕が回されてさらに引っ張られて、なになになんなの敵なの死ぬのと叫ぼうとしたら口を塞がれて、私は頭が真っ白になった。ついでに血の気が引いた、それも倒れそうなくらいに。

「○○、落ち着け…私だ」
「!………クラピカ?」

そっと外された口で名前を呼ぶと、乱暴な真似をして悪かった、と声を潜めて返された。よく分からないけど、私もクラピカに倣って小声でどーしたの何かあったのと聞くと、数拍黙ったあと、たまたまお前たちを見つけたんだと話始めてくれた。

「お前たちの声が聞こえたんだ。恐らくケンカでもしたんだろう、かなり響いていた。騒いでいては標的になりやすいだろうし、……泣きそうな、声に聞こえて…少し、気になったんだ。それで声の方に向かってみたら、お前がしょぼくれて歩いてるのが目に入ったんだ」
「そう、だったんだ…その、いろいろあって…なんかレオリオ怒らせちゃったみたいで…私が悪いんだと思うんだけど、分からなくて…」

クラピカに会えたらなんだか急に安心して、話すのと同時に泣きそうになった。無意識に入れてた力が、抜けちゃったみたいに。

「……頼るなとは言わない」

うつむいていた顔をあげると、そこには困惑しながらも、いや、違うな…気にかかるんだ、○○、お前のことが、と、やさしい眼差しを向けるクラピカ。何も解決してないけど、クラピカがいてくれるだけで大丈夫だと、なぜだかそう思ってしまった。

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