彼のセリフシリーズ

□分かりづらい説明だな
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レオリオの評価はだだ下がりしたと言わざるを得ない。だって制限時間の大半を捨てたようなことになったのは、全部、レオリオがえろいせいだ。レオリオのバカ。

通された部屋の中で、それぞれが好きなように時間を過ごしていて。私はゴンのそばで時間を消化していた。レオリオのそばは嫌だし、キルアはなんか明らかに怖い出来事があったから。おじさんは無理だし。そしてクラピカは…少しだけ、そう思って目を向けると、すぐに気づいて視線を向けてくれた。ぎゅっと胸が締め付けられて、私はとっさに目を伏せて。ゴンにとりあえずへばりついた。それでもおさまらない胸の高鳴りは初めて経験するもので、でも知識として知っていた。それから何度か同じことを繰り返して、だってクラピカを本当はずっと見てたいから、待機時間が一時間を切ったとき、クラピカが急にそばに腰を下ろしてきた。

「ク、クラピカ…ど、どーしたの?」
「………私はどうもしてないが、○○こそ何かあったのか?」
「えっ、な、なにが!」
「何度か私に話しかけようとしただろう。大事な話なら、聞いておこうと思ったんだが」
「………大事な、話…」

私にとっては大事な話だけど…ハンター試験中だしもうすぐ再開するし。かといってクラピカに代わりにするような話もすぐには思い付かないし…!

「えっと…その…、クラピカをだだ見たかっただけなの」
「………それは、…よく分からないんだが、どういう意味だ」
「えっ!?ど、どーゆー意味…そ、そうだよね…例えばだけど!例えば…目の前に猫がいたとしてね、猫ってすぐに距離か縮まらないじゃない?ちょっとご飯あげたり、遠くから話しかけてみたり、私の存在になれてもらうようなことして…でもやっぱり近づく勇気はなくて、本当はちょっと触ったり抱っこしたいのにうまくいかなくて眺めてるだけ…みたいな…感じかな…?」
「分かりづらい説明だな」

そんな!こんなに頑張って説明したのに…!しかも好きってことをなんとか伏せて!
ショックを受けた私に、クラピカは穏やかに笑った。そして私の手にあったかい手を重ねて、これでいいのか?と聞いてきた。コクコク頷くしか出来なかった私の気持ちに、クラピカ以外の全員が、当たり前だけど気づいた瞬間だった。

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