彼のセリフシリーズ

□なんのつもりだ
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私とレオリオはよくお似合いだねって言われる。一体何がどうなってどの辺がお似合いなのか分からないけど、気が合うのは間違いない。少しというかかなりおおざっぱよく言えばおおらかな、人情味溢れる、たまに短気がキズ、とか気が合わない人の方があんまりいないと思う。けど、とにかく私たちはいつも一緒で兄妹みたいに過ごしてきたから、ハンター試験をレオリオが受けると言えば、私だって受けるんだ。



受けなきゃよかった、ハンター試験。口をついて出なかっただけ私は自分を褒めたい。それぐらい疲労困憊ズタボロになった私は、横を見やって、レオリオも同じ心境だろうと悟った。じっとレオリオの横顔を見つめてると、なんだよ寝よーぜ、と、投げやりに言われる始末に憤慨したくなったけど、瞬く間に寝入ってしまったレオリオに文句を言うこともできず、仕方なく私はレオリオに寄りかかって寝ることに決めた。それぐらい我慢してほしい。

飛行船はあまり揺れなかったけど、全く揺れないわけじゃなかった。軽い揺れの度に神経質な私は一瞬目を覚まし、またレオリオに引っ付いて寝る、を繰り返していた。そうでもしないと寝られそうになかったから。レオリオだけが安心できる存在だったから。何度も揺れで離されて、眠さと戦いながら、私は頭を肩にへばりつけさらには胸元にがっしりとしがみつくことにした。そうでもしないと寝不足のまま三次試験になっちゃう、やだ死んじゃう。ぎゅっと指先に力を込めて温かさに意識が飛びそうになった瞬間。

「なんのつもりだ」
「…………!?」

上から降ってきた声は、レオリオの声じゃなかった。驚いて瞬時に離れて、私は自分の失敗を認識した。出会ったばかりの私よりさらに神経質そうな人とレオリオ間違えるなんて…ごめんなさい。

「ご、ごめん…レオリオだと思ってて…」
「私とレオリオを間違えるわけないだろう…と言いたいところだが、○○の気持ちは分かる。レオリオはあっちに転がってるからな」
「えっ……、本当だ転がってる…」

体が痛いからかうまく寝れなかったらしいレオリオは大の字に横になれるスペースに自然と移動したらしく、私の隣は空白だった。悲しい。

「あの状態のレオリオに寄りかかって寝るのは難しいだろう」
「そうだね…起きたらたっぷり恨み言言っとく…」
「……いや、そうじゃなく…その、良ければ代わりに貸してもいいが」
「…………クラピカの肩?」

ああ、うまく寝れないようだからな。
そうして向けてくれた穏やかな笑みは、私の心を一瞬で掴んでしまった。

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