彼のセリフシリーズ

□まあ、見た目は不合格だね
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私のイメージとはかけ離れてる派手なラッピングは、一体何時間かかったか分からないくらい、手をかけた。意外な顔をするヒソカに同意せざるをえない。

「……意外と手先が器用なのかな」
「そうだったらよかったんだけど」
「うん、そうだよね。君、靴ひも結ぶのもたまに…」
「え、なんでそんなこと知ってるの」

もちろん、君が好きだからだよ。
私からチョコレートを受け取りながら囁いてくるヒソカは、自然に、まるでいつもしてるみたいに、そっと頬にキスをしてきた。固まってる私を見て楽しそうに笑って、嬉しそうにラッピングをといていく。ただ呆然と見入っていた私は、ヒソカがチョコレートを見て、目を細めて笑ったところでようやく正気を取り戻した。

「頑張ったんだね、たぶん」
「……ごめん」
「まあ、見た目は不合格だね」
「……ごめん」

たくさん、どれだけもらったのか分からないぐらいたくさん、チョコをもらってるヒソカに、あげられるようなものじゃなかった。ただ型に入れるだけにすればよかったのに、張りきりすぎてアイシングになんかに手を出すから…。
うつむきがちになっていた私の口に、少し大きめなハートのチョコレートが急に入れられて、顔をあげるとヒソカが私にくわえさせたチョコレートをまさにかじるところだった。パキ、と小さく音がなって。うん、おいしい、と心底楽しそうに笑っていた。

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