彼のセリフシリーズ
□まだ、切りたくない
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もうだめだ。限界。本当にむり。
キルアが、足りない…!!
さびしいしつらいしかなしいし。私から電話してもいいかな…だめかな…それよりなにより出てくれないかな…。
キルアの声聞きたい、好きって言いたい、むしろ会いたい。
……もうむりー…。
こないだ電話がきてから、数週間が過ぎていて。私は、ちゃんと我慢したよね?と自分に言い聞かせて、キルアに電話をかける適当な理由を作り始めた。
うん、ゴンが元気か気になった、ってことにしよう。ゴンに直接かけろよって感じだけど、そこは察してもらおう、うん。
「…なに」
「あ、き、キルア?」
私からかけた電話に出てくれた…!これはすごい進歩だ…!
私は感動しながらも簡潔にゴンはどうしてるかと聞いて、キルアはすぐにゴンに代わってくれた。ひさしぶりのゴンとのおしゃべりは無理に理由をつけたくせに、すごく楽しかった。そうしてもう一度キルアと本当にほんの少しだけ話して、私はキルアの声を体中に染み渡らせるようにじっと聞いた。
少しだけだったけど、これできっとまた数週間は大丈夫なはず…!と、私は短く、忙しいのにごめんね、と言って切ろうとした。けど、キルアから一向に返事がない。
「キルア?じゃあ、またね?」
「…まだ、切りたくない」
………え!
びっくりしてる私に、なんでゴンと話すだけ話して切るんだよ、そうすねた口調でキルアが言ってきて。
キルアは、どこまで好きにさせるんだろう、嬉しくてぼんやりする頭で、そう思った。