彼のセリフシリーズ

□勝手なイメージ押しつけてんじゃねえ
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気持ちのいい天気のおかげで、ボート乗り場はそれなりに混んでいた。ここに来るまでと、二十分の待ち時間の間、私はレオリオを穴が開くほど見つめ続けていた。

「…頼むからそろそろ勘弁してくれよ」
「えっ、何を?」
「だから、そんなに見られると恥ずかしいんだよ!」
「えっえっ…でも、見たいから…」

だってレオリオが。何にでも慣れてるように見えたレオリオが。本当なのかな。いつもリードしてくれるし、さっきのカフェだって払わせてくれなかったし、そう先週だって。

「ほんと…?」
「何がだよ」
「私が初恋って、ほんと?」
「ああ…さっきから言ってるだろ…何回も聞くなよ…まじで…」

若干うんざりし始めたレオリオに、少しずつ納得し始めた私は、でも信じられなかった。キャンパスでも飲み会でも、レオリオは女の子と接するのに慣れていたのは絶対で。私は会話することすら難しかったから。

「レオリオは女慣れしてるんだと思ってた…」
「勝手なイメージ押しつけてんじゃねえよ」

だって、と考えをまとめながら話す私に、レオリオはちょっと怒っているようにも見えた。

「だってレオリオはどの女の子ともすぐに打ち解けちゃうし…私はそんなことできないよ?」
「あのな、そりゃおまえが女子校だったからだろ。俺はずっと共学にいたんだからそんぐらいはさすがにできるぜ」
「…そういうものなの?」

ひとつため息をついたレオリオ。私にはまだ分からないことが多いけど、レオリオが私を好きだと思ってくれてることはよく分かった。
でも、なんだか不思議。余裕ぶってるのに、手にキスしようとしただけであんなに慌てたレオリオは、そう考えるとちょっとかわいかった。
くすくす笑い出す私と、不思議顔のレオリオ。なんだかとってもボート日和な感じがした。

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