彼のセリフシリーズ

□俺が忘れさせてやる
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ためらいがちに息を吐き出してから、○○は俺から離れた。弱々しく俺の胸を押す手を、もう一度取って今度はきつく抱きしめた。

「フィン…、だ、大丈夫だから…」
「泣けよ」

顔を横にずらせば困惑した表情で○○は俺を見つめ返す。

「全部受けとめてやるから泣けよ…もう下手くそな笑顔なんかするな」

分かってる。俺らしくないって言いたいんだろ。でも仕方ねえだろ?もう悲しい笑顔なんかたくさんだ。全部吐き出すように泣いちまえばおまえはいくらか元気になるんだ。だから泣けよ。

腕の中に閉じ込めた○○は、でも泣かなかった。驚いて混乱している○○の頬は、まださっきの涙が光ってる。クロロを、俺以外の男を思って流す涙なんか本当は見たくもねえ。何も考えずに涙を拭き取るようにキスを落とす。

「フィ、フィン…!」
「俺が忘れさせてやる」

月の光を浴びてきらめく髪をひとすくい取って、そこにまたキスを落とすと途端に○○は体を固まらせる。そんな行動も愛しいから、本当に手に負えない。でも、赤く染まる頬は俺を拒絶しない。無理矢理じゃなく、必ず手に入れてやる。俺を惚れさせた、おまえが悪い。

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