彼のセリフシリーズ
□あんな退屈な奴やめて俺にしなよ
1ページ/1ページ
お風呂上がりに炭酸水を無理矢理飲み干して、今日は疲れたとぐったりイスに座り込んだ。花瓶の中の花はだいぶ減って、まだ綺麗に咲いているのはもう三本だけだった。
シャルはどういうつもりなんだろう。私のことを本当に好きだとは思えない。からかって、楽しんでいるだけな気がする。
でも、シャルに傷つけられたことは一度もない。だから、私が本当に嫌がることはしないと思ってるんだけど…
そこまで考えて、携帯が鳴っていることに気づいた。彼からかもしれないと急いで手に取る。
「もしもしっ?」
「どうしたの?随分慌ててるみたいだけど」
つい一時間前に別れたばかりのシャルの声に、思わず脱力した。彼だったらよかったのに。
「俺の方がいいって気づいた?」
「…何言ってるの」
不機嫌な声を出してしまったけど、シャルは全く気にせずにまた小さく笑う。
「あんな退屈な奴やめて俺にしなよ」
爽やかな、楽しそうな声。いい加減、我慢の限界だった。
「冗談はもうやめて。からかうなら他の人にしてよ」
思った以上に、きつい口調で言ってしまった。ずっと一緒だったシャルを傷つけたくなんかないのに。
「…冗談なわけないだろ」
さっきとはうって変わって低い、少し怒った声に、怖くなって電話を切った。小刻みに震える手。
どうか心は震えないで。