1st anniversary plan

□駆け出して行けるなら
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記憶に残ってるのは、君の横顔。
いつだって、隣に並んでいたから。思い出されるのは凛とした悲しそうな横顔、それと、俺が話しかけた言葉にかすかにもらした笑い声。消えてしまいそうなくらい、静かな声だった。俺が大事に大切に、ずっと抱きしめてる思い出。

なぜかくもりの日ばかりだった気がするんだ。それも今にも雨が降りそうでぎりぎり降らないくらいの、重たい分厚い雲が広がってた。そんなことそのときは全然気にしてなんかなかったのに、今になってみると雲の分厚さなんか覚えてる。俺がずっとしゃべってて、君はたまに頷いてみたり、機嫌のいいときにはごくたまに声を出して返してくれることもあった。それが泣きたいくらい嬉しかったなんて、今になってもちょっと言えないけど、だから、だからさ、君が笑った声を聞いたとき、俺がどれだけ頑張って堪えて、喜びを抑えたかなんて、うまく言えないんだ。

俺がそばにいたことに少しぐらい意味があったって、思いたい。君がいなくなってしまってから、ただただそう思う。会いに行きたいよ、駆け出して行きたい…靴を履くのももどかしいくらい、靴紐なんか結べないくらい、足がもつれて転びそうになったって、転んだって、息が切れてしまっても、それでも、君のもとに行きたい。言えばよかった、君がこんなに大切なんだって、言わない方がいいなんて考えてた俺がこんなこと思うなんて馬鹿げてるけど、それくらい想ってるから。だから、ごめん。想わせて。

いつだって君を想ってるよ、いつまでも変わらずに。
そう、あの日と同じ曇天に初めて伝えてみた。
 

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