謀と惹かれ逢えば偶然の下に

□Coincidence.9
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あれ。そういえば、私なんでこんなに幻影旅団に馴染んでるんだろう。おかしいよね?だって、私のターゲットのはずだよね?


「そうじゃん!!腕相撲なんかしてる場合じゃないじゃん!!」
「あ?なに言ってんだ、おまえにやることなんかねえだろ」

いや、あるのよ!それもすっごく。そして現状、依頼を遂行するのにとてつもなく好都合な状況下にいる。

「ねえねえ、フィン。幻影旅団てあと何人いるの?他にはどんな人がいるの?」
「そんなんおまえに関係ねえだろ、教える義理もねえし」
「関係あるわよ!私はあんたたちに軟禁されてるんだから!」
「なら、なおさら教えるわけねえだろ。逃げようだとか変なこと考えてんじゃねえだろうな?」

ぐだぐだ言ってくるフィンクスに、ケチ、分からず屋、チェリーボーイ!となじってやったら、うるせえ!と怒鳴られた。うるさいやつにうるさいって言われると余計に腹立つ…。

とりあえず、聞く相手を間違えたなと思った私は、マチの部屋を訪ねてみた。筋トレグッズとかわいいぬいぐるみが共存している部屋の違和感には、未だに慣れない。

「それでさ、フィンにうるさいって言われて!うるさいのはあたしじゃなくてフィンなのに!」
「ああ…まあ、あんたらは同じぐらいうるさいけど…」
「えっ、マチ、そこはさすがに私の味方でいてよ!」
「いや…それはちょっと…」

って、あれ。なんかただ遊びに来たみたいになっちゃってるし。ここは心を鬼にしてちゃんと調べていかないと…!と思ったけど、こんなくだらない私の話に付き合ってくれる優しくてかわいいマチに聞くのは気が引けて仕方ない。ダンベル片手に筋トレしつつぬいぐるみをだっこするマチに胸キュンしながら楽しくおしゃべりをしたあと、私は部屋を出た。

これじゃ情報集めようと思っても集められないじゃん。フィンクスはだめだし、マチとパクには悲しくなって聞けないし。他にいるのは…、フェイタンは絶対だめだ…!部屋に行っただけで殺されそう…!あとは、シャルナーク…いや、あの人はうさんくさいから無理だ…。えー、どーすればいーのー。

「バカ面下げて何を悩んでるんだ、バカが頭を使っても何も思い付かないだろ」
「ん?…って、嫌なヤツ!」

やだ、なんでいるの!って、いるのはおかしくないけど、私の前に現れないでよ!ずっと避けてたのに、ひどい!

「…おい、その呼び方はやめろ」
「えっ、なにが」
「嫌なヤツ、だ。不愉快だ」
「えっ、私なんかバカって呼ばれてるんですけど。とっても不愉快なんですけど」

バカをバカと呼んで何が悪い、なら嫌な人を嫌なヤツって呼ぶのも悪くないです!
廊下でぎゃーぎゃー文句を言い合って、結局私たちはお互いに名前で呼び合うということで話に折り合いをつけた。てかクロロって名前だったんだ…そういえば名前知らなかったし。
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