謀と惹かれ逢えば偶然の下に

□Coincidence.4
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―――どうしてこうなった。

ありがたいことにソファの寝心地は悪くありませんでした。というか寝かせていただいてありがとうございました。でもね。

一体どこなのここ。

なぜかボロボロの部屋に、不釣り合いな高そうなソファ。すごい座り心地抜群だけど。いかんせん、周りの状況がよろしくない。なぜならば。

怖い人がいっぱい、いる…!

もうやだやだ!なんで突然こんな状況になってるの。というか、この人たち本当に依頼主なの。絶対、おかしい!

だってなんか異様なほど強い、絶対

おかしい、おかしい。こんな強い人たちばっかりなら私に依頼する必要なんかないんじゃないの。いや、待てよ。情報に長けてる人がひとりもいないのかな。それなら分かる気も…

「てことは、バカばっかりってこと…?」
「おい、頭の弱い女」
「………はい?」

無駄にかっこつけてる集団の中から、やたらけんかっ早そうな人が近づいてくる。目付きが悪くて眉がないからかなり悪そうに見えるけど、生憎そんなんじゃびびらないんだな!

「なによ!あんただって頭弱そうじゃない。むしろ本当にそうなんじゃないの?」
「こいつ…、一発ぶん殴ってやる!」

膨れ上がるオーラと殺気に、瞬時に自分の言った言葉を後悔した。どうして私はこんなに口がよく回るんだろう、ほんとバカ。
怒ってるくせに、そいつはすごい楽しそうに拳を降り下ろしてきた。速い、怖い、死ぬ!ちゃんと避けたのに拳に切られた風が私の頬を切る。ピリ、と走る痛みも熱も全く気にする余裕がないけど、これだけはひとこと言わなきゃいけない。

「女の顔に傷つけるなんて、サイテー!そんなんだからモテないんだよ!」
「うるせえ!モテねえって決めつけてんじゃねえ!俺は女に興味ねえんだ!」
「やっぱりモテないんじゃん!」

ああっ、こんな軽口叩いてる場合じゃないのに!どうやったらここから逃げれるんだ…!次から次へと飛んでくる速くて重い拳をなんとか避け続けていると、いつの間にかおそらく出口だと思われる扉が背中に迫っていた。とてつもなく頑丈そうなその扉は、こいつの相手しながらじゃなければたぶんぶち壊せるけど…、って、こいつにやらせよう!!
追い込まれたように見せかけて背中をピタリと扉につけると、顔面めがけて拳が飛んでくる。ちくしょう、こいつほんと性格悪い、絶対モテないし!
ギリギリで避けたその拳は、すさまじい音をならして扉に激突した。ぐにゃりとへこんだ金属製のその扉は、ゆっくりと外に倒れる。当たんなかったからいいけどさ、こいつ私の顔ぐちゃぐちゃにする気だっただろ。まあ、いいけど。それよりも!あとは逃げるだけだ…!
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