謀と惹かれ逢えば偶然の下に
□Coincidence.2
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―――どうしてこうなった。
おかげさまで家賃も電気もガスも水道代も払えました。そのおかげで随分久しぶりにあたたかいお風呂に入れたし、そして紅茶も飲めたしオレンジジュースも飲めました。ごはんもあたたかくてとても文化的なものを食べれています。
だからって、幻影旅団を調べあげるなんて無理だよ!!
いち、団員全ての能力
に、団員全ての基本的特徴及び性格
さん、幻影旅団のアジト
生涯かけても調べられるわけがないじゃない!それを一年以内って、どういうことなのお…。
しくしく涙を流してみてもワンルームのこの部屋には私しかいない。慰めてくれる人もバカにしてくれる人も、誰もいない。
こんな大金を用意できる依頼主に思考を巡らせて、依頼を遂行できなかった場合の自分の運命に絶望せざるをえなかった。家族、友達に相談…なんてできるわけがない。私の携帯の情報はともかく、口座がバレているくらいだから、もしかしたら今この状況だって監視されているのかもしれない。
もう食事も喉を通らない…とか言いたいのに、私の腹は飢えの危機を脱した喜びで絶好調である。ほんとやだ。
まあ、しかし。なにはともあれ美味しい食事はエネルギーの源なのよ!
そう意気込んで無駄に腕をふるって作り上げた料理を食べていく。外食はもったいなくて行けないあたり、ほんと悲しい。
大体どうやって探せばいいのかも分からないし、探し当てられたとしても!即刻殺されちゃうんじゃないの、私。
やだやだ、ほんとやだ。でもごはんはおいしい。ありがとうございます。
そんな感じに私の頭が狂い始めたとき、くっきりとノックの音が響いた。思わずびくりと体を震わせるほど、くっきりと威圧的なノックだった。