tesoro mio

□tesoro mio21
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予想だにしなかった展開で解決したゴンとキルアのけんかは、結局二人の仲をより深めて終わった。ビスケはなかなか楽しめたわさ!と爽やかに言い切っていて、私はぐったり疲れていた。ゴンとキルアはその日ずっと二人で楽しくおしゃべりをしていて、よかったよかったと私はゆったり自分を回復させて一日が終わった。



そう、そして次の日。
もちろん、そりゃ、分かってるよ?私は女で、男の子の友情には入れないし、入るつもりだってなかったけど。でもさ、でも、ちょっとぐらい仲間に入れてよ!

「それでね、キルア!」
「ああ」
「ちょ、ねえ、私も話に入れてよ!」

昨日一日たっぷり友情を深めたんだからもう私が入ってもいいでしょと割り込むと、きょとん顔のゴンと明らかに不機嫌な顔のキルアに睨まれた。

「おまえは来んなよ。どーせ話についてこれねーから」
「えっ…、そんなふうに言わなくても…」
「○○、ごめん。話終わったらキルア返すから、ね?」
「そうじゃなくて…」

私の言葉には耳も貸さずに、また二人の世界に入っていってしまうのを私はただ眺めるしか出来なくて、もやもやした気持ちが胸に広がるのをどうしても止められなかった。ショックを受けてぼんやりしてる私のもとに来たビスケはまた楽しそうに笑っていて、少しは理解できたんじゃないの?なんて言ってくる。

「理解って…なにを?」
「キルアがゴンと仲良くしすぎて、つまらないんでしょ?」
「え…そんなんじゃ…、私はただ話にまぜてほしいだけだし…」
「だから、あんたの言う仲間外れになった気持ちがちょっとは分かったんじゃない?」

仲間外れ。
楽しそうに笑いながらおしゃべりするゴンとキルアを、私はつい昨日まで望んでたはずだ。なのに、なんでこんなに寂しい気持ちになるんだろう。

話終えたらしいゴンが私のそばに来て、キルアの話を楽しそうにしてくる。キルアがさっきね、そう言って話してくれる言葉がなぜか全然耳に入らなくて、目で追ったキルアは私のところになんか顔も向けずに今度はビスケと話し込んでる。さっき話しかけに行ったのに、なんで私のところに来てくれないの。そんな悲観的な考えが渦巻いてくる。

「○○?俺の話聞いてる?」
「あ…、ごめん、なに?」
「そんなに気になるなら行けばいいのに、キルアのとこ」
「…行っても、冷たい態度取られるだけだもん。いつもそうだもん」
「ちゃんと言葉にして言わないと伝わらないよ。俺たちのけんかでよく分かったでしょ?」

言いたいことは分かるけど。キルアはゴンのこと大好きだから、うまくいったんだって。私にどれだけ冷たいかゴンは絶対分かってないよ。

「それとも、代わりに俺と仲良くしてる?」
「えっ、代わりって…ゴンとは十分仲いいよね?」
「そうじゃないよ。俺、昨日、キルアの前で○○に告白したんだよ?忘れちゃったの?」
「………えっ!?」

岩に腰かけてる私を見下ろすゴンを見つめると、そこにはいつものまっすぐな瞳があって。とても、冗談とか嘘には思えない。まぶしすぎる笑顔も、爽やかに笑う声も、全部いつも通り。
何て言えばいいのか分からなくて視線をそらすと、思いがけずキルアと目が合った。
そんな私に気づいたのか、ゴンは私を立たせてそっと耳打ちしてくる。

「俺、意外とあきらめ悪いみたい。だから、覚悟しててね?」

直後にふっとかけられた吐息に、反射的に体が跳ねてしまう。ゴンに顔を向ければ、吐息がかかるほど間近にゴンの顔があって、思いに反して顔が熱を帯びていくのが嫌でも分かった。
まぶしい笑顔、なのに、ちょっとだけ意地悪な顔が見え隠れするその表情は、困惑させると同時に勝手にどきりと胸を騒がせた。
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