tesoro mio

□tesoro mio16
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私が船を降りたときにキルアもあとからこっそり降りて、ゾルディックで鍛え抜かれた尾行の技術をもってキルアは私をつけたらしい。ちょっとストーカーっぽいね!とついぽろっと言ってしまってから一時間、キルアの機嫌は最悪だった。ついでに言えばまだなおってない。謝ってるんだから許してほしい。せっかく二人っきりなんだから。

「…そういえば夜はどうしてたの?」

まだ冷えるこの時期に外にずっといたなら、そのストーカー根性はすごい。あ、こんなこと思ったらまた怒られる…。

「近くのカフェに入ってた…けど、おまえがズシの部屋に泊まったのはさすがに想定外だった」
「そっか、たしかに」
「…おかげで余計な心配はしなくてすんだけどな」
「え?なんの心配?」
「…なんでもねーよ」

え!なにそれ、気になるよ!って言いたかったけど聞くなオーラがすごかったからやめた。こわいこわい。

「…飛行船で帰る?」
「飽きるぐらい海見たいんだろ。しょーがねーから船でちんたら帰ってやるよ」

ぶっきらぼうで相変わらず口が悪いけど。胸にじんわり広がるやさしさは中毒になりそう。…いや、もうなってるかも。
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