my dear
□my dear
2ページ/4ページ
あったかい。抱き枕ってこんなにあったかいものだっけ。気持ちがよくて、目があけられない。もうちょっとだけ…。ぼんやりと覚醒した意識をもう一度手放す。なんだかひどく安心した。
コンコン
コンコンコン
…だれだろう。…ああ、でもむりそう。ぽかぽかしてとても起きれそうにない。ごめんね、だれかさん。
「んー…?」
すぐそばで小さい声がする。なんで?…なんでもいいや。あったかい。
「…○○?」
あれ?なんで○○がいるんだっけ?…思い出した!昨日遊びに来てそのままソファで寝ちゃったんだった。起こしても起きなくて、ベッドに一緒に寝たんだ。まぁ、いっか。
でも、なんで腕枕なんかしてるんだろ?
コンコン…コンコン…
「おーい、ゴン!寝てんのかー?」
ドアの向こうでキルアが大きな声で呼び掛けているのが聞こえる。寝坊しちゃったんだ!
飛び起きようとして、腕、というか肩の上に○○の頭があることに気づいてそっとずらす。離れると一瞬さびしげな顔をして、服をつかまれる。困ったな。
そっと、捕まれた手を優しく外す。ぎゅっと握ってあげて、包むようにベッドにおろした。…うん、大丈夫そう。
急いでドアを開けると、キルアが腰に手をおいてあきれたような顔でため息をついていた。
「ごめん…。ちょっと昨日夜更かししちゃって」
「いいけど。めし食い行こうぜ。腹へった」
「うん!行こ行こ!…っと、ちょっと待って」
「?」
いけね。○○がいるんだった。一応、起こしてみよう。意味ない気がするけど。
「○○…、○○。」
「…ん」
軽く肩をゆすると、目を擦りながら気だるそうに上半身をおこした。
「おはよ、○○」
「ゴン?…おはよー」
すぐに思い出したようで、笑顔で返事が返ってきた。
「今からごはん食べに行くけど、○○も行く?」
「ごはん!行く行く!」
寝起きが良いようで、なに食べようかな?と楽しそうに話しかけてくる。談笑しながらキルアに目をむけると、開け放されたドアのそばで、茫然としている。
「キルア?○○起きたから、三人で行こ!」
はっとして目があったキルアの顔が、どんどん不機嫌になっていく。
「行かねーよ!…じゃあな」
バタン!と派手にドアが閉められる。
えー!?さっき行こうって言ってたのに!