tesoro mio

□tesoro mio18
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「○○!おかえりー!」
「会いたかったー!ゴンー!」

かわいいかわいいゴンに久しぶりに会えたのが嬉しくて、思いきり抱きつくと、ゴンも笑い声を響かせてきつく抱きしめ返してくれる。まぶしい笑顔に心が洗われる気がする…!

「試験どーだった?」
「うん、受かったよ!…キルアのおかげで」
「ははっ、一緒に受けてよかったね!」
「…すごい拍子抜けだったけどね」
「いつまでへばりついてんだよ」
「ったい!!」

じんじん痛む頭をおさえて振り向くと、相変わらず不機嫌なキルア。ゴンと並ぶと、どうしてこうも対照的に見えるの。かたや癒し代表、かたや不機嫌のかたまり、みたいな。

「まあまあ、キルア。久々なんだしいーじゃん、少しぐらい。俺も嬉しいし!」
「…そうかよ」

ぶすっと口を尖らせてきびすを返すキルア。やばい、すごい怒ってる。だってあの人どこ行くつもりなの。今帰ってきたばっかなのに。

「き、キルア…その、ごめんね?もうしないから、怒んないで…お願い」
「………」
「っ、いひゃい!いひゃいー!」

ほっぺが!ほっぺが史上最長に伸びてる!

「ふぇ…ひどい…いたいよぉ…」
「…おまえさ、分かってんの?」

とがめるような口調で言われても、そんな端的に言われたら分かるわけないじゃん!みたいな目で見つめたら、すごい怖い顔されたからとりあえずびくついてみる。
ため息ひとつにあきれ顔。どうやらまた私は何かしでかしたらしい。

「…この際言っとくけどな、おまえは」
「○○ー!キルアとなんか話してないで、あたしに試験の報告しにきなさい!」
「ビスケ!ひさしぶりー!どこ行ってたのー?」

ビスケだ、ビスケだー!
駆け寄って試験受かったよ!と報告すると、そんなこと知ってるわよ!と意味不明な返事をされる。

「ん…?でも今報告しにきてって…」
「そんなのキルアをだますために決まってるでしょ。で、どうたったの?二人っきりの旅行もどきは!」
「…ビスケ、すごい楽しそうだね」

勘弁してよ、と嫌がる私にビスケは徹底的に質問をしてきて。その質問たるや、この人純粋な恋愛したことないんじゃないのと疑いたくなるようなものばかりで、私はさらに抵抗をした。けど。恐ろしい師匠にかなうはずもなし。

「ふーん、まあやることはやったのね」
「…美少女の見た目でそんなこと言わないでよ、頼むから」
「でも、あんたたち帰ってくるの遅かったじゃない?どこで道草くってたのよさ」

あらかた話してしまったけど、お兄ちゃんのことはさすがに言えずにいた。でも、どうなんだろう。家族が恋しくて会いに行ってた…って普通なのかな…?いや、恋しくて行ったわけじゃないし…。

「その顔はなんかあったわね。早くいいなさいよ」
「えっ、えーと…別に何も…」
「隠しても無駄だわさ!私には手に取るように分かるんだから!何があったの、ねえねえ、ライバルでも出てきたの?」
「うん…まあ、そんなとこかなー」
「嘘おっしゃい!早く言わないとみっちり修行させるわよ!」

襲いかかるいきおいで伸びてくる手に思わず抵抗しようと手を出すと、ビスケが急にきょとんとした表情になった。

「ビスケ?」
「○○、指輪は?落としたの?」

あんたあんなに大事にしてたのに、悲しそうな顔で言ってくれるビスケは本当に心配してくれていて、どう説明すべきか途方にくれてしまう。
さっきまですんごいからかってきてたのに…。

「あ、あのね、指輪は…なくしたわけじゃないんだ。ちょっと、その、いろいろあって…」
「そうなの?…もしかして」

やだ!なにその顔!絶対なんかいらんこと思いついたでしょ!

「分かったわよさ!前に、忘れられないのって言ってたまさにその相手に会ってきたんでしょ!」
「えっえっ、そ、それは」
「それで指輪を叩きつけて返してきた!なるほどねー、意外とやるじゃない。うじうじした女々しい子だと思ってたけど、見直したわさ!」

うじうじした女々しいやつだと思われてたんだ…ちょっとショック…。返してないし首に下げてるけど、まあそういうことにしとこう。ついでに叩きつけてもないけど。私の評価が上がったみたいだからいっか。

は!そんなことよりキルアは!?

無駄にテンションの高いビスケのいい加減うざったい質問を無視して、きょろきょろ探すとばっちり目が合いました。
あとで覚えとけよ、みたいな目と。
…勘弁してください、ほんとに。
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