tesoro mio
□tesoro mio6
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審査会に集まった人たちは本っ当に様々だった。見るからに武道家みたいな人もいれば、しゃくれ選手権に出れそうな人、美少女コンテストと間違えて来たんじゃないかと目を疑う格好の女の子もいた。
ちなみにしゃくれ選手権の人はうんちくをぐだぐだと私たちに話しかけてから、やたら格好つけて去っていった。世界には面白い人がいっぱいいる。
果てしない時間がかかりそうに見えた長蛇の列はみるみる短くなって、キルアが席をたったときに私も一緒に並んだ。ひとりで並ぶとか寂しんだもん。ゴンは結構マイペースだし。
「みんな一緒に合格できるといいね」
「問題はおまえだな、俺とゴンは余裕だから」
「うぅ…なんかもうどんどん自信なくなる…」
二人の異常なほどの成長っぷりは嫌なほど分かってる。大丈夫かな、私…。
「ばか、弱気になんなよ。受かんなかったらでこぴんしながらほっぺたつねるぞ」
「ええ!?なにその理不尽な扱い!」
なんだか私の立ち位置がおかしくなってる。キルアより私のがかなり年上なのに、なんで私のがこんなに弱いの?
「頑張るから…小指ででこぴん程度で許して…」
「だから、弱気なこと言うなよ。次言ったらその口塞ぐぞ」
…えっと、それはそーゆー意味で?
間違っても針と糸で縫いつけてやるとかそっち系じゃないことを祈るけど…でもそしたら…
急に恥ずかしくなって、それを見て満足気に微笑むキルアに背を向ける。こないだしたばかりのキスが頭をよぎって、頭を振って無理矢理追い出した。
こんなときに何考えてるの、私!
「じゃあ、あとでな。しっかりしろよ、おまえただでさえどんくさいんだから」
気づかないうちに列の先頭に来ていて、ドアが開けられていた。いつもならキルアの悪態に文句を言ってやるのに、自信をなくしつつある私はただうなだれた。
「…自信持てよ、すげー役に立つ能力なんだろ。早く見てーからすぐに来い、いいな?」
「キルア…」
そっぽを向きながらキルアはそう言ってくれた。
…大丈夫。みんなで、キルアとゴンと一緒に行くんだ。
再度開かれたドアに、小さく息を吸い込んでから一歩を踏み入れた。