tesoro mio

□tesoro mio3
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夜遅くになってもキルアからもゴンからも連絡はなかった。電話するって言ってくれてたから、今日中にはかかってくると思ってたけど、やっぱり久々だから盛り上がってるのかもしれない。
丸一日、ヨークシンを掘り出し物を探しながら観光したからもうくたくただった。お風呂も入ったしもう寝ようかなと思い始めたときに、キルアから電話がかかってきた。

「もしもし?こんな遅くにどーしたの?」
「ああ、ちょっといろいろあってさ。悪いけど今からこっち来てくれ。買ってきてもらいたいものも結構あんだ」
「うん、いいけど…」

頼まれた買い物はどう考えても病人を介抱するものだった。他にもすぐに食べられるものと、あと病人がいるならと適当に果物を買った。電話で言われた場所は、正直廃墟にしか見えなかった。今日一日で何か不穏なことが起こったのはまず間違いなさそうだった。
キルアに電話をして着いたことを知らせるとすぐに出てきてくれた。

「悪いな。とりあえず中入れよ、ちゃんと話すから」
「うん。えっと、お邪魔します…」

通された部屋にいたのはゴンだけで、その部屋もぼろぼろだった。

「○○!ありがと、来てくれて」
「ううん、暇だし」

切実に暇でした。




「えっと…、え、今はもう安全なの?」
「いや、クラピカのこと探してるだろーな」

二人の話は衝撃的だった。無事でよかったけど、お願いだからもう絶対そんなことしないでほしい。

「それで、クラピカさんは?」
「レオリオが見てくれてる。お医者さん目指してるからレオリオが一番適任なんだ」
「そうなんだ」

レオリオにも会いたかったけど、病人の部屋にいるならあんまり入らない方がいいよね。

それにしても、話聞いてから少し時間がたったからいくらか冷静に考えられるようになってきたけど、この子たち危ないことしすぎだよ!こんなんじゃ絶対いつか死んじゃう。今回はたまたま運が良かったとしか思えない。

「ゴン!キルア!」
「わっ、どしたの?」
「なんだよ、うるせーな」

うるせーなって、こっちがなんだよ!だよ!二人とも自分たちがどれだけ危険なことしたか分かってない!

「もう…危ないことしないで…」

無事でよかった、そう言ったとたん気がゆるんだのか涙腺までゆるんだ。うつむく私の肩に、ゴンが手をおく。

「ごめん、○○。もう○○を心配させるようなことしないから、ね?やくそく!」
「…本当に絶対だよ」

指切りを促されて、またあの親指でする誓いのちゅーまでした。ゴンは本当に不思議。なぜかすとんと安心してしまう。

「俺、ちょっとクラピカ見てくる。起きてるかもしれないし」

ぱたんとドアが閉まる。ゴンは謝ってくれたし約束もしてくれたからいいけど、キルアは全然許してないんだから。

「…おまえ、怒ってんの?」
「キルアなんかもう知らない」

ちゃんと反省してもらわないと困る。キルアに何かあったら。そう考えるだけで怖い。
とん、と目の前にキルアが座って、そっぽを向きながら小指だけ立ててる。恥じらいながら誠意を示そうとするキルアは本当にかわいい。こういうところだけは子どもらしい。
ちょっと笑ってしまいそうになるのを我慢して、小指を絡めてキルアとも約束をした。

「よし!じゃー、誓いのちゅー」
「…」

親指を合わせようとしたのにキルアは床に手をついてしまって、どうしたのか聞こうと顔をあげる。
ふわ、と柔らかい髪が顔や耳に触れて、頬にあたたかい感覚。すぐそばにキルアの顔があって、驚いて体を後ろに引いた。

「きるっ…」
「これでいいだろ?」

そう言うキルアは生意気で意地悪な笑みを浮かべていて、どうしてかこの笑顔にドキドキしてしまう自分に驚く。
キルアは急に男の人みたいになる。天空闘技場で一緒にいたときもそうだった。
くすりと笑うキルアに仕返しにでこぴんをして、そうするともういつも通りで。でも少しだけお互いに頬が赤いのは、私もキルアも気づかないふりをした。
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