tesoro mio

□tesoro mio2
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ゼパイルさんと合流したときに、長身のお兄さんはレオリオという名前だと知った。レオリオさん、と呼んだらそんな他人行儀な呼び方やめてくれと言われた。
そのあと三人で業者市に出品した木造蔵の様子を見に行って、その間にかなり意気投合した。レオリオもゼパイルさんもとてもやさしかったし、二人とも年上だからか穏やかで居心地がよかった。
ホテルへの帰り道、レオリオが酒を買って行こうと言ってとても飲みきれない量のお酒とおつまみを買った。私の分、とレオリオはヨーグルトのリキュールを選んでくれて私には全く払わせずに買ってくれた。なんだか大人の男の人ってかんじ。
ヨーグルトのリキュールはとってもおいしくて、オレンジジュースで割るのもおいしいけど、私はジンジャーエールで割るのがすごく口にあった。

「すごいおいしい!レオリオありがとう!」
「ははっ、よかったな」

それからいろんな話をした。ゼパイルさんに贋作の話を聞いたり、レオリオがゴンとキルアに会ったときの話を聞いたり。レオリオはもちろん私がゴンとキルアにどこで知り合ったのかを聞いてきて、私はお兄ちゃんのことを師匠として話して、兄妹であることを伏せて簡単にくだらない話だけをした。
お酒がおいしかったからか、二人の飲むペースが速いからか、私もすいすい飲んですぐに酔っぱらってしまった。

「レオリオー…ねむい…」
「なんだ、○○は酔うと眠くなるのか。お子ちゃまだな!」
「む…、ねむくないもん!ちょっと言ってみただけだもん!」
「はは、ちっこくて甘ったれなくせに強がりで、○○は妹みてーだな」
「……いもうと」

お兄ちゃんもそう思ってたのかな。妹なんかに、見られたくなかった。私はお兄ちゃんを、もうずっとずっと昔から兄として見たことなんかない。男の人で、ただひとりの好きな人。お兄ちゃんは私を愛してくれたけど、妹としても接していたと思う。こうして離れてしまうと、愛されたことも愛したことも、現実味をなくして夢だったような気がしてくる。

「…○○?どうした?気持ちわりーか?」
「…おにいちゃん」
「おいおい、やめろよ。照れるだろ」
「おにいちゃん…あいたい…あいたいよ…」

何度もお兄ちゃんと言って私はぼろぼろ泣いた。今日初めて会った人なのに、レオリオの胸で泣きじゃくった。やさしく頭をなでてくれて、それがお兄ちゃんを余計に思い出させて、お兄ちゃんが恋しかった。
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