my dear

□my dear
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右手に持っているチョコロボくんがひどく重い。こわくて、キルアの部屋に向かうことすら出来ない。チョコロボくんに、大丈夫かな?と話しかけてみる。心なしか寂しそうな、困った顔をしているように見える。テーブルにちょこんと立たせてぼんやり眺めていると、かごに盛った果物が目に入った。りんごとオレンジとバナナの上に桃。バナナにシュガースポットが出来ていて、もう十分食べ頃だった。桃もそろそろ熟してるはず。…そう言えばゴンは桃好きだって言ってたよね。ゴンに聞いてもらおうかな…。うん、そうしよう。



「○○?ひさしぶり!」
「ゴン、会いたかったー!」

開いたドアから眩しい笑顔を向けられて、なんだか急に安心してしまった。軽いハグをして、桃を渡す。

「桃だ!ありがとう、○○」
「かわりに、少しおしゃべりしてってもいー?」
「はは、もちろんいいよ!」

並んでソファにかけて、ゴンの体調を聞く。もう全然大丈夫!治ったかも!と言われたので、腕に指を弾いてみたら、悶絶して痛がっていたのでさすがにまだ治っていないことがわかった。すぐに土下座をして謝ってみるも、罰として桃をむくことを命じられる。むいた桃をテーブルに置くと、あーんと口を開けて待っている。なんてかわいいの。もう10時を回っているのに、ゴンは桃をぺろりと食べてしまう。食べ盛りの少年はいいよね!こんな糖分の高いもの、私はもう怖くてできません。

「おいしかった!ごちそーさま!」
「どういたしまして!」

会ってなかったこの二日間に、ゴンは使えない右腕が邪魔にならないようにシャワーを浴びる方法を発見したことを嬉々として語ってくれた。なんにでも一生懸命になれるってすごいよね。ほんとに。そんなとりとめのない話をしていると、明日になればキルアの機嫌はよくなるんじゃないかという気になってきた。たぶん何もしてないと思うし、単に虫の居所が悪かっただけかもしれない。
おしゃべりは日付が変わってからも続いて、お互いうつらうつらし始めたところで帰ろうと思ったけど、予想以上に眠気が強くて立ち上がれなかった。ソファに埋もれるように深く沈んで、そこからはもう覚えていなかった。
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