ダレン&デモナタ 短編

□恋人バカ
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真夜中──寝静まった町とは裏腹に、シルク・ド・フリークの舞台は沸き上がる歓声に満ち溢れていた。






「トールさん」


穏やかで心地よい声が聞こえたと思うと、トレーラーの入り口から彼女が入ってきた。


「…アロマか」


アロマ。それは愛しい愛しい我が恋人の名前。


「クモの巣キャンディーが全て売れてしまって… …あっ、あとトラスカさんのお人形も」


「ほう…今回は大盛況だな…アロマのおかげかな?」


「ふふっ、トールさんの作るお土産の質が良いからですよ」


アロマは花のように笑いながら土産物を補充し始める。




「……(しかし…)」



アロマの小さな背中を見ながらつくづく思う。
私が大きすぎるせいで、アロマは私と話す時首がもげるのでは?と思ってしまう程私を高く見上げる。これではまともにキスも出来ないではないか、と。



「きゃっ… …!?」


後ろからアロマを抱き締める。


「この背のせいで、いろいろ不便だろう?」


抱き寄せて耳元で囁くことも、手を繋ぐことも一苦労。正に不便そのものだ。


「そうですか?私は、好きですけど…」


それでも君はそんなわたしを好いていてくれる。アロマは背が160p前後と至って並な為、やはりどう考えても不便の根源が自分から来ていると思うと小さな罪悪感が広がる。



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