short

□従兄弟の恋愛方法
1ページ/1ページ



「なぁ、ごんべえ?俺な、お前のことめっちゃ好きや!やから、付き合ってくれへんか?」

「俺からも、言わせてもらうで。好き、なんて言葉じゃ足りんくらい愛しとる。俺ら2人覚悟はできてるから、酷な話しやけど、どっちか選んでくれへん?」

なんて思いもよらない告白からはや一週間。
そう、一週間前、私たちはテニスの合宿で、東京の氷帝学園に、四天宝寺、立海が集まった。
主役校がいない?そんなバカな。
今回の主役はこの私だっつーの。
あぁ、あと比嘉は経済面的に来れなかったらしい。まぁ、沖縄は遠いからね。

まぁ、そんな感じで打倒青学を掲げて、集まった三校は、それはそれは血と汗と涙の練習をしたのだった。
もちろん私は、立海のマネージャーとして。

侑士は東京に、謙也は大阪に、そして私は神奈川へと帰って行くはずだったのだが、帰る直前の予想外の告白。

にしても、私は彼らに惚れられるような人なのだろうか。一体私のどこが…。

「にょぁぁぁぁあーー!!わっかんねー!」

「何ちゅう色気のない叫び方しとるんじゃ。まぁ、一人百面相はなかなか面白かったけどのぅ。」

ククッと喉を鳴らして笑う我が立海のお色気担当。
このほとばしるフェロモンはもはや高校生のものではない。

「で、どっちにするんじゃ?」

休憩時間ということで、木陰に座って悶々、というか悩み事をしてた私の隣になんの造作もなく座りこみやがった。
ここ、私の特等席なのに。こんちくしょー。

「ちょ、え、は?!ど、どどっちって何が?」

そんなことよりも、軽く爆弾発言をしなかったか!?

「何をそないに慌てとるんじゃ。さっき幸村が言うとったじゃろう?ごんべえも練習に入るんか、それともマネ業するんかどっちでもええって。」

「そっちかよ!ややこしい聞い方すんなっての。」

私の頭には、侑士と謙也の顔面がゆらゆらしてたじゃないか。

「それとも、そんなに動揺して、“タリーズ”のコトでも聞いて欲しかったんかのぅ?」

「たりーず?コーヒー?」

そんな妖艶に笑いながら言うコトか?
やっぱ、仁王はよくわからん。

「忍足’s」

「え、ちょ、何で知ってんの?!」

「みーんな知っとるぜよ。立海も、四天宝寺も氷帝も。知らんやつはおらん。それでお前さんがどっちを選ぶかケーキでも賭けとるしのぅw」

そんな馬鹿な!
周知の上だっただと?不覚だったぜよ。

「私の恋路で遊ぶなや!」

「おぉー、関西弁で話すとは、付き合ってるうちにお互い似てくるっちゅーからもうデキとるんかww」

「にーおーうー?」

こちとら真剣に悩んでるっていうのに茶化しに来たんかい!

「プリッ…そんで、どうすんじゃ?」

「どうするもこうするもどっちか1人なんて選べるわけないじゃん。どっちか1人が傷つくってわかってるのに。」

それが最大の悩みどころなのだ。
正直、どっちかだけを好きだとかそんなのはたぶんない。私が気づいてないだけなのかもしれないけれど。
だからこそ、どちらかを選ぶなんてできない。2人が従兄弟同士っていのもあるのかもしれないけれど。

「あやつら2人、そんな覚悟でお前さんと向きおうておらんよ。傷つける、なんてちゅう半端な気持ちで言うとるんじゃない。男と男の本気ぜよ。どちらにせよ、あやつらが望むのはお前さんの幸せだけじゃ。」

「どうしよう?とてつもなく仁王が大人に見える…。知り合ってから初めてまともな仁王を見た気がする。」

「ったくお前さんっちゅーヤツはのぅ…。こっちが相談に乗ったっとるちゅうのに。人生で最初で最後のモテ期なんじゃけぇ、よう考えんしゃい。」

「じゃあさ、聞くけどさ、仁王がもし私のコト好きだとしたら、どこを好きになる?」

「………………………ないの。」

「ぇ、そんなに考えといて一個もないの?結構凹むんだけど。」

「逆にもし、俺を好きになるとしたらどこを好きになるぜよ?」

「うーん………」

「ほら、ないじゃ「クールで硬派だけど、チームのコトを何よりも考えてるところとか、テニスが好きなとこ、意外と茶目っ気があるとこ、こうして私が悩んでたら話を聞きにきてくれるとこ…あげだしたらキリがないね笑」

こうみたら、意外といいやつなのかもしれないなー、なんて思いで仁王をマジマジと見たら、予想外に照れてた。
膝に顔をうずめて、顔を見せないようにしてる。けど、

「うっわ、耳まで真っ赤。何そんなに照れてんのー?」

いつも、私がからかわれる方だったから、今日初めて勝ったかも。なんて。

「う、うっさいなり//もう、戻る!///」

なんちゅう、ウブな反応w
からかいがいがあるじゃないかww

「仁王、ありがとね!」

「…おう。」

男と男の本気、か。
傷つけるくらいならどちらも選ばないなんてのは、いらない優しさで、逃げてるだけなのかもしれない。
なら、答えは見えてる。

明日から始まる全国大会。
私たちも、氷帝も、四天宝寺も開催地、東京へ集まる。
そのときキチンと、面と向かって言わなきゃ。




そんなこんなで、
in東京
withタリーズ

「え、と。先週、言ってもらったコトは素直に嬉しかった。返事、なんだけど、私はまだどちらにも惚れてない。だから、私を惚れさせて?」

「言うなぁ、ごんべえちゃん。じゃあ、これからはグイグイ攻めていくで?」

なんて、低音エロボイスで耳もとにささやかれた。

「なっ!俺も負けとられへん!ヘタレ、なんか光に言わせへんくらいに積極的に行くからな、ごんべえ。」

こうして、従兄弟たちの戦いは切って落とされたのだった。





ーおまけその1ー
「ねぇ、仁王?仁王はあっちに行かなくていいの?」
「なに言うとるんじゃ、幸村。これはあやつら従兄弟の争いじゃ。俺は関係なかよ。」
「従兄弟の争いじゃなくて、ごんべえを惚れさせる戦いじゃないの?」
「何が言いたいんじゃ。」
「仁王も鈍感だなーってね。」




ーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき的な反省。
某乙ゲーをして、書きたくなった作品。謙也と侑士、どちらが落とすのか気になるところ。シリーズ化したいかも。っていうか、謙也と侑士の口説き方を書きたい。
どこからでもわいてでる仁王雅治。安定の贔屓。







.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ