HQ!!

□背伸びした眺め
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私の好きな人は3歳違いの幼なじみ。
小さい頃は可愛がってもらってたけど、最近は会うと少し手を振ってくれるだけ。
私は中学3年生で彼は高校3年生。

「もうちょっと早く生まれたかった…」

自然と溜め息が零れる。

人があまり居なさそうな路地に入ると、横からまだ中が入っているペットボトルが転がってきた。
拾い上げると、男性が走ってきた。

「ありがとうございます!」
「いえいえ、とんでもないです。」

ここは坂があるから私も気を付けよう。

「浮かない顔ですね…」
「…ばれました?」

私はちょっとずつ話した。

話を聞き終わると、男性は口を開いた。

「君は大人になりたいですか?」
「もちろんです、どうすればなれますかね…」

男性はニヤッ、と笑った。

「こういう事です。」

高い塀に押し付けられる。
何が起きているのか分からない。

「大丈夫ですよ、すぐ終わりますからね。」
「い、嫌です!離して下さい!」

駄目だ。
どうしよう。
助けてよ、孝支…

「すいませんーこの子俺たちのなんでー」

聞きなれた声がする。
孝支の友達だっけ。

「離して貰って良いですかー?」
「い、良いですか…」
「孝支!」
「チッ…」

男性は逃げた。
その瞬間足に力が入らなくなった。

「孝支…こ、う」

うわあぁぁん…っ

声にならなかった。

「大丈夫か、##NAME1#」
「う、っん…ひぐっ」

孝支の友達もいるのに恥ずかしい。
けどしょうがない。
めちゃくちゃ怖かった。

「なら良かった。ごめんな、ずっと1人にしてて。」

ぎゅっ、と強く抱きしめられる。
久しぶりの孝支の香りが鼻をくすぐる。

途端、後ろから鼻をすする音がした。

「良い話だぁ…」
「旭、お前涙もろすぎ…」

旭さんか。
涙もろいんだ。
澤村さんも変わってないなぁ。

「ごめんね、ありがとう、孝支。」

久しぶりに見る笑顔は暖かかった。

(いつか、きっと落としてみせるから。)

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