物語
□死んでも死にきれないって言うけど案外あっさり死ぬ
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真選組屯所にて悪事を働いていた天人を捕獲することに成功……いや、貢献した銀時たち三人は翌朝近藤たちが目を覚ますまで粘ったものの結局報酬は得られず、重い足取りで万屋への道を歩いていた。
「あーあー、やってらんねェな。せっかく儲かると思ったのによ」
「でも実際拝み屋として受けた依頼って今回が初めてだし……これなら普通に万事屋として店番してた方が効率いいんじゃないですか?」
「何言ってるネ。心霊現象なんて、どうせ後ろめたいことしてる奴が自意識過剰に叫き散らしてるだけヨ。それを適当に聞き流して胡散臭い呪文唱えたりするだけでお金がもらえるなんて楽な仕事やめられないアル」
「依頼が来ない理由がたった今わかった気がする!」
などと賑やかな会話に花を咲かせていたのがまずかったのだろう。
時刻はまだ朝早く、遅くまで店をしているお登勢からすればまだ睡眠が恋しい時間。
賑やかさもそのままに騒々しく階段を登っていた三人が下から空の酒瓶を投げられたのは言うまでもない。
「うるさくて寝れねーだろこのバカヤローどもォォ!!」
「ちょ、おま……お前が一番うるさいんだよクソババア!!」
間一髪酒瓶を避けた銀時は負けじと言い返す。
その後ろには不幸にも酒瓶がクリーンヒットした新八がいた。
幸い本体(メガネ)は無事だった。
「まったく、泣きっ面に蜂とはこのことですよ……って、あれ?」
酒瓶の衝撃でふらつきながらも、一足先に二階へ辿り着いた新八。
その視線の先には一人の少女が佇んでいた。
もう一度言うが、時刻はまだ朝早い。
しかし少女はそこにいた。
「拝み屋さんですか?」
「そうでーす。正確には一時間ほど前まで」
どうやら拝み屋はやめることにしたらしい、と新八は銀時のだらしない対応を見ながら思った。
この男、食いつくのも早いが飽きるのも実に早いのである。
そんなことなど露ほども知らない目の前の少女は、銀時の言葉を聞いていなかったのだろうか。
三人に深々と頭を下げた。
「お願いします、助けてください!」