進撃の巨人

□自分の翼7
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扉を開けると
ずっと会いたかった大好きなリヴァイの姿と

血だらけのエレンの姿だった






「リヴァイ…っ?!」

駆け寄ろうとしたが恐怖で足が動かなかった

声も出ず見ることしかできなかった

だけどすぐ理解した



リヴァイの作戦だと
話を聞いていればよく理解ができる

だがミカサはきっとすごく怒っていると思う…

流石にあれはやり過ぎ…



裁判はリヴァイがエレンの面倒をみることで一応助かった


判決後リヴァイの元へ駆け寄ろうとしたがリヴァイの姿はすでに無かった

「はや…あ、ミカサ!アルミン!」

凄い顔をしたミカサとそれをなだめるアルミンが、こちらに向かってきて歩いてるのに気づき声をかけるとミカサが凄いスピードで目の前まで走ってきた…

「っ!」

「名無しさん!あのチビは本当に名無しさんの大事な人?…あいつはエレンに酷い事をした!私もあいつに同じ事を「まぁまぁ…リヴァイ兵長のおかげでエレン助かったし…あれも演技だから…」

っとアルミンがミカサをなだめる

「だけど!あのチビは許さない…」

ミカサは本気で怒っているようだ…
このままリヴァイの所に一緒に行ったら間違いなく殺り合う…
それはまずい…凄くまずい…


名無しさんは仕方なく1人でリヴァイの元へ向かった



「…ここか…」

リヴァイの声とエレンの声を頼りについた部屋のノブに手をかけた



こちらが開くと反対に向こう側から扉が開かれた

目の前にはポニーテールをし眼鏡をかけた…女性?…が立っていてこちらを見ている


「あっ…あの…「おい!何してやがるクソ眼鏡…早く報告書を…お前…」リヴァイ!」

気がついたらソファに座っているリヴァイに抱きついていた

涙を流しながら

伝えたい事はいっぱいある…

だけどまずリヴァイに触れたかった

リヴァイが本当に生きてるか…知りたかった…



「やっぱりリヴァイ…会いたかったっ…やっと…会えた…」


「本当に…お前…名無しさんなのか?…」

リヴァイは名無しさんの頭を上げ顔を見た

「そうだよ!リヴァイ!私だよ名無しさんだよ!」



リヴァイは何も言わず目が見開いた状態で黙って抱きしめてくれた

そんな光景をみんなあり得ないと言うような目で見て
特に眼鏡の人は笑いをこらえているようだった…





「何でお前が…兵士に…もしかして…調査兵団になるために…か?」

「まぁね「馬鹿か!」え…?」

リヴァイの声は部屋中に響き

先ほどまでの空気とは違い一瞬で冷たくなった。

リヴァイを見ると以前より冷たい目をしていた
何かあったのかっと思わせる勢いでリヴァイから一歩ずつ離れた

「何で…そんな事言うの…?やっと会えたのに…何かあったの?」

リヴァイは顔を伏せ
眼鏡の人に"俺の部屋に報告書もってこい"っと言い部屋を出て行った


「なんだよ…あ…あのファーランとイザベルってここの班ではないんですか?」

それを言うと眼鏡の人が体を少しはねさせた

「…その2人なら…5年ぐらい前に亡くなってしまったよ」

名無しさんは足元から崩れ落ち頭が真っ白になって涙を流していた

それを見たエレンが駆け寄り

「イザベルさんとファーランさんって…名無しさんと暮らしてた…人だよな?…何で…亡くなったんですか?」

エレンも気づいてる…
でも聞きたかったんだと思う

「巨人に…よって…戦死したんだ」


イザベルとファーランが…死んだ?

うそだ…わたし…お別れしてないよ…

何で…リヴァイはあの時言ってくれなかったの…

ねぇ…リヴァイ…







その日は食事も食べれなく
ミカサと部屋に戻ると

ミーナ達の姿が無かった


「あれ…?ミーナは?そー言えば、食堂にもいなかったよね?」

「…ミーナは死んだ。あの時のエレンの班はエレンとアルミンと名無しさんしか残っていない。」

まただ…

私からまた奪ってく

大事な家族も(カルラ、イザベル、ファーラン)

友達も

私に好きって言ってくれた人さえ

一瞬で奪って行く



「ミカサ…私間違いだったのかな…兵士になるの、間違いだったのかな…っ…ヒクッ…せっかく…会いたかった人に会えたのに…っ…今嬉しくないよっ…」

ミカサの肩を借り今まで泣いた事のない量の涙を流した


ミカサは優しく抱きしめながら、静かに頭を撫でてくれた

もう涙も出なくなり顔わ上げると
自分でも分かるぐらい酷い顔をしていた

「顔…洗ってくる…ミカサは先に寝てて…。」

「分かった。」

ミカサに背を向け井戸を目指し一歩づつ足を前に出した

フラ付きながら一歩づつゆっくり前へ進んだ


井戸に着きバケツに水を入れ
その水を両手ですくうと顔が映りその自分の顔を覗き込んだ




酷い顔…
あれ…何か目の色が…気のせいか…。



一瞬左目が真っ赤に見えたが
見直すと普通の赤目だった



すくった水で顔を洗い洋服で拭こうとすると、目の前にタオルを出され

「ありがとうございます…」

顔も確認せずタオルで顔を拭いた


その時…タオルの匂いでタオルの持ち主を見た


「リヴァイ…」

そこに居たのは以前より冷たい目をしたリヴァイの姿

顔を拭くとリヴァイにタオルを返した

「ありがとう…」

少し沈黙が流れ

リヴァイが口を開く

「イザベルとファーランは「知ってる…さっき部屋に居たハンジさんに聴いたよ…最後に会いたかった…っ…せっかく顔洗ったのに…また汚れちゃうなぁ…っ…」

悔しい…何もできない自分に
腹が立つ…弱い自分に



ふっと体を抱きしめられ


「悪かった…迎えに行かなくて…っ…寂しい思いさせて…つらい思いさせて…アイツらを…っ…守れっ…なくてっ…クッ…」

リヴァイもいっぱいつらい思いしてきたんだ…

私だけじゃない…

「…寂しくなかったよ?…エレンとミカサ達と暮らしてたんだ…あの日リヴァイ達が出かけた日…私も地上に上がった…その足で船に乗って…」


今までの事を話した

リヴァイも私も仲間を失う悲しみを知って
何か変わったのかもしれない…。


話してる時…


涙が出なかった。


悲しいのに…つらいのに…

一粒も流れない
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