【SW】向日葵は青空の太陽を見上げる
□対峙
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「え……」
みっともないと言われた光太郎は自分の恰好を見る。
走っている時に靴は片方脱げ、汚れている靴下。
高そうなズボンや上着だってしわしわになって、
顔も汗がダラダラ。髪の毛だってボサボサ。
「まったく。神田のやつは何やってるのかしら」
光太郎の母は呆れたように額に手を添える。
「光太郎。母さん仕事で忙しいから困らせないでって言ったわよね?
貴方は利口だからよくわかるはずよ」
自分に視線を合わせるようにしゃがんだ母親にそう言われ、光太郎は小さく「ごめんなさい…」と謝る。
「わかってくれてよかった。
貴方は本当にいい子だわ」
「よくないよ」
「名無美…」
「申し訳ありません。止めきれませんでした」
光太郎は扉の所にいる名無美に目を見開く。
ボロボロで息切れをしている名無美の後ろに、リーダー各の男、神田の姿もある。
「あら、貴女が誘拐犯の少女ね」
光太郎の母は近くまで来た名無美を睨みつける。
「光太郎をどうたぶらかしたのか知らないけど、随分やってくれたじゃない。
まったく、親の顔が見たいわ」
「生憎、親は小さい頃に亡くなってるんで」
名無美はそう言うと、光太郎を捕まえると距離をとる。
「私、凶悪な誘拐犯だから光太郎を道連れに死ぬかも」