【SW】向日葵は青空の太陽を見上げる

□対峙
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「名無美!」


光太郎と気配でギリギリで避けた名無美は光太郎を後ろに隠すように後ずさりをする。



「坊ちゃん、お嬢さん。もうゲームオーバーです。

 お友達がどうなってもいいのですか」


男の後ろには、別の男達が佳主馬、夏希を捕まえている。



「二人の男子高校生もここにはいませんが、仲間が捕獲しました。

 坊ちゃん。大人しく帰りましょう」



揺れる光太郎はギュッと名無美の服を掴む。




「私が背中を押したら全力で走って」





光太郎にしか聞こえない声で名無美がそう伝える。

「え…?」

「光太郎なら、大丈夫」


すると、名無美は肩にかけていた鞄を下し、

鞄の肩ひもを掴む。


「佳主馬、約束守れないかも」


その言葉で察した佳主馬の顔は真っ青になる。



「走れ!!」

名無美に背中を押された光太郎は奥の部屋に向かって走りだす。

リーダー各の男も光太郎を追いかけようと動き出す。



「っんああああっあああ!!」

「はっ…ちょっ!やめ…」


佳主馬の声も空しく、名無美は鞄をリーダー格の男に向かって振り回した。

他の男達が追いかけようとしても名無美が鞄を振り回して阻止する。

ドカドカと男達の体に鞄が当たり、佳主馬の顔もドンドン青くなっていった。





「ハァ…ハァ…」

光太郎は最後の力を振り絞って走り、そして一番奥の部屋の扉を開けた。


「えっ!」

社長の秘書を思われる女性は驚くが、光太郎は気にせずさらに奥の扉を開いた。



「光太郎?」

仕事をしていたと思われる母親は驚いた顔で光太郎を見る。


「ハァ…ハァ…ママ」


光太郎が握っていた花を差し出そうとした時だった。





「なんてみっともない恰好してるの」
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