【SW】向日葵は青空の太陽を見上げる
□追走
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光太郎は浮かない顔で車の後部座席へと座っている。
「今日のピアノのレッスンは時間がかなりすぎてますので、急遽お休みです。
このまま、塾のほうへと向かいます」
隣に座るリーダー各の男は淡々とそう告げる。
「ねえ…ママはなんて?」
「勝手に持ち出したブラックカードを返すようにと」
光太郎は「ふーん…」と窓の外を見た。
「!?」
すると、隣の車の窓から身を乗り出そうとしている名無美の姿。
何かこちらに向かって言っているようだ。
光太郎は慌てて車の窓を開ける。
「光太郎!!」
窓を開けた光太郎に名無美は呼びかける。
「危ないってバカ!!」
名無美が落ちないように必死に掴んでいる佳主馬。
「名無美!!」
「光太郎!今からお母さんの所に行こう!!
お花、ダメになっちゃったから新しく買って行こう!!」
隣に座る男が「坊ちゃん」と止めようとした時だった。
丁度信号が赤になり、光太郎はシードベルトを外す。
慌てて男が光太郎の服を掴んだ時、光太郎は男に向かって思いっきり顔を蹴りあげ、男は痛みで悶える。
「名無美!」
ドアのロックがかかっていたため、開いた窓から抜け出した光太郎は名無美のいるワゴン車の窓へと移る。
男達が車から降りようとした時、信号が青になってワゴン車は逃げるように発進した。
細かい道など色々走って、佐藤さんは自分以外の皆を車から降ろす。
「僕が囮になるから、皆は安藤社へ。
ここから歩いて10分くらいだから」
「ありがとうございます」
皆は会社を目指して走り出した。