【SW】向日葵は青空の太陽を見上げる

□捜索
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「っ!!」

名無美が気配に気づいた時には遅く、名無美はスーツを着た男によって取り押さえられた。


「離して!!」

名無美は逃れようと暴れるが、ガッチリと掴まって逃げられない。

よく見るとスーツの男が何人もいて、名無美と光太郎を取り囲むように立っていた。


「坊ちゃん」

光太郎も別の男によって取り押さえられた。


「光太郎を離せ!!」

「こらっ!暴れるんじゃない!!」



そこへ、ワゴン車が到着した。


「名無美ちゃん!!」

ワゴン車からは夏希と筆頭に健二達も出てくる。


「夏希ねえ!助けて!!こいつら誘拐犯なの!!」

「名無美、この人たち誘拐犯なんかじゃないよ」


佳主馬はそう言ってパソコンの画面を名無美に見せる。



「そこの男の子は、安藤グループの女社長のご子息だよ。

 そこのスーツの人達のバッチ見てみな。安藤グループの証だから。

 ネットニュースにもその子がいなくなったことが取り上げられてる。

 習い事に行く途中失踪したってね…。

 しかも、文面には怪しい少女と一緒にいるって書かれてる。

 むしろ、名無美の方が誘拐犯扱いだ」


名無美は「え…?」と言葉を漏らし、光太郎を見る。

光太郎は目を合わせようとせず、俯いている。


「でも…私達光太郎の家に行こうと…」

「何言ってるの。

 家どころか駅からも遠ざかっていたよ」


佳主馬にそう言われ、名無美は再び光太郎を見る。



「嘘なの…?なんで…?」

「…お母さん…いつも仕事ばかりだから…困らせてやろうと思ったんだ」


体の力が抜けていく名無美はその場に座り込む。




「騙すなんて…最低」

名無美が睨みつけると光太郎はグッと唇を噛みしめる。



「坊ちゃんがご迷惑をおかけしたみたいで申し訳ございません。

 後日お詫びの菓子折りを送りします。

 こちら、私の名刺です」

スーツの男たちの中でリーダー各と思われる男はそう言うと光太郎を連れて高級車に乗ってその場を離れた。



「名無美ちゃん…」

夏希は座り込んでいる名無美の背中をさすり、車を運転していた佐藤さんも心配そうに降りてきた。

茫然とする名無美は地面に落ちている包装された花が視界に入る。

落とされた花は花びらが少し散ってしまい、しかも踏まれたようだった。


「あーあ可哀そうに…」

佐久間が花を見てそう言い、健二はその花を拾う。


「光太郎…お母さんが今日誕生日だからって…」

名無美がそうポツリとこぼす。



「確かに、安藤さん今日が誕生日だね」

そしてそう言った佐藤さんを皆はバッと見た。


「会社のHPにも書いてあるし、僕もお祝いの品送ったからね」

「え、佐藤さんそんなに親しい間柄なんですか…?」

すると佳主馬が「何言ってるの」と口を挟む。



「佐藤さん、OZの日本支社の社長だよ。

 安藤グループもOZで色々店出してたし、一番の大手取引先だよ」



皆の驚いた声がその場に響いた。
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