【SW】向日葵は青空の太陽を見上げる

□捜索
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「駅はまだなの?」

うんざりした表情で問いかける名無美に光太郎は、

「まだ先だよ」

「なんか、こっちの道だっけ…?」

「こっちからでも行けるんだ」


歩いていると、光太郎はある店の前で足を止める。

そこは小さなお花屋さんだった。


「ここ入ろうよ!」

「え?」


名無美は光太郎に手を引かれ、花屋へと入った。



「ちょっと。寄り道してたら夜になるよ」

「待ってよ。ママが今日誕生日なんだ」

光太郎はそう言うと、店員さんに


「大きな花束を作ってください」


そう言ってブラックカードを取り出した。

そのカードに店員は顔を真っ青にする。


「僕、お父さんとお母さんに使っていいって言われたのかな?」

「そうだよ」


光太郎はそう言うが、子供の言葉を鵜呑みにしていいのか迷う店員。


「すいません。現金で払います」

名無美はそう言って財布を取り出す。



「ありがとうございました」

店を出た名無美と光太郎。

そして光太郎の手には丁寧に包装された一輪の花。


「なんか…しょぼい」

不貞腐れたように言う光太郎。

名無美は呆れ、

「ブラックカードなんて子供が持っていいものじゃないよ。

 それに、光太郎には一輪で十分

 大人になったらもっと立派なのあげればいいでしょ」

「チェッ…」


二人は再び歩き出す。


「お母さんなら、きっと光太郎がくれたものならなんでも喜ぶよ」

「名無美のママはそうだったの?」

「うん。空き地の小さな花でも喜んでた」

「そっか〜。あのね、僕のママすごいんだよ。

 沢山の難しい書類の囲まれて、色々な人に頼られてすごくカッコイイんだ。

 いつもお仕事しててすごいんだ」

「遊んだりしないの?」

「ママお仕事忙しいし無理だよ。ご飯も寝るのも夜遅いし」

「お父さんは?」

「パパはいないよ。

 でも、僕はママがいるから大丈夫。

 お手伝いさんもいるし」






名無美は脳内で離れた所からこっそり母親を見つめる光太郎の姿が浮かんだ。


「そっか…」







二人に伸ばされる手に気づかず。
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