【SW】向日葵は青空の太陽を見上げる

□突然
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栄の葬式が済んだ後、夏希達が帰る時に一緒に東京に遊びに来た名無美。


もちろん目的は東京でのお買い物。

夏希としては、もっと名無美と仲良くなろうという考えもある。





迷子になる1時間前



「名無美ちゃん!あっちの服名無美ちゃん好みじゃない!?」

「ちょっ…」

「あ!あっちのお店も入ってみよう」

「まだ見てな…」




「あそこのお店セールだって!」



「あっちは開店したばかりなんだって!」



「あっちのお店も気になる!」



「今度はあっち!」



「そっち!」



「こっち!」





どんどん進んでいく夏希に追いついていけなくなり、

気がついたら名無美は夏希を見失っていた。



「チッ…」

やっぱり夏希は好きじゃない。

名無美は改めてそう思った。


しかも携帯を持っていない名無美。

長野からパソコンは持ってきていたのだが、

今は泊まっている夏希宅にある。

夏希の家に戻ろうにも、電車が多すぎてどれに乗ればいいかわからない。

名無美はとりあえず、今まで通った店とかに戻ってみるが、夏希の姿はない。



「はあ…交番に行こうかな…」

名無美がそう思った時だった。


ドンッ


名無美の背中に誰かがぶつかる。

後ろを見れば、小学校低学年くらいの男の子だった。


「………」

「………」

ぱっちりと目が合う二人。



「僕を連れて逃げて!!」

子供は突然そう言った。

もちろん突然のことで「?」状態の名無美



「ほら、あそこ!

 悪そうな奴がいるだろ!?

 僕を誘拐しようと探してるんだ」

男の子が指さす先を見ると、

確かにスーツを着た怪しい男達がウロウロしながら辺りを見回していた。


「だったら警察に…」

「ほら早く!」

「ちょっ…」


男の子は名無美の手を引いて走り出した。
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