【sw】花の愛
□入学式
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「暖かい風が吹き始める今日この頃…」
中学の時のなど比べ物にならないくらい広い広い体育館。
膨大の数の生徒とその保護者が並べられたパイプ椅子に座り、学校長の話を聞く。
話し始めてかれこれ10分は経過した。
まだ終らないのかと生徒も飽き始めている。
名無美もその一人で欠伸が出そうになった時、
「あの校長話長くね?」
と隣の生徒に話しかけられた。
隣を見ればどこをどう見てもギャル。
名無美達が座っているのは特別進学クラスの場所だ。
一見勉強ができなさそうなギャルが何故?と思った時、長い校長の話がようやく終わり、入学生徒代表の挨拶へと移る。
スッと立ち上がった男子生徒がまっすぐステージの上へと歩いて行き、教壇のマイクの前へと立つ。
手に持っていた紙を広げると淡々と読み上げる。
「あいつ、イケメンだけどあんまり好みじゃねー」
ギャルの言った通り整った顔立ちではあるなと名無美も思った。
「新入生代表ってことはあいつうちらの中で一番頭が良かったってことでしょ?
まあ、うちもなんとか特待生入れて良かったけどさ」
その言葉に名無美は耳を疑った。
この学校はそれぞれの学科成績上位3名までが特待生として学費から寮から学校でかかるお金全て免除されて入学できる。
という事は、このギャルはクラスで3位以内の成績を収めたということだ。
ちなみに名無美も特待生枠で入学できたのである。
「うち貧乏だからさ、ここだと特待生になったら学校にかかるお金全部免除だしさ、
将来良い職つけるじゃん?
あと制服の着こなしある程度自由だし」
ギャルは名無美に向かって手を差し出し、「うちの名前は中澤アユ。よろしく」と笑った。