【SW】向日葵は青空の太陽を見上げる
□心の穴
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栄の死に皆は悲しみに暮れる。
そんな中、名無美だけ部屋に籠って布団をかぶっていた。
「ハァ…ハァ…」
名無美は震える体を自分で抱くようにうずくまった。
広間のほうから聞こえる夏希の泣き声が聞こえないように耳をふさいだ。
「名無美、朝ご飯だって」
しばらくして部屋の前から佳主馬が呼びかける。
しかし名無美は返事をしなかった。
「ママ、眠い…」
「着くまでまだかかるから寝てなさい」
「ん…」
「にしてもひどい雨だな…」
キキーーッ!!!
「子供はまだ息があるぞ!!」
「もう大丈夫だぞ!!」
「残念だけど、お父さんとお母さんは…」
「君はお母さんが守ってくれたから助かったんだよ」
「かわいそうに…」
「まだ小さいのにね…」
「見て、泣いてないわ。きっとお父さんとお母さんが死んだことが実感できないのね」
「あんたは強い。真っ直ぐと前を向いている。
だけどね。今は強くなくたっていいんだ。
私が守ってあげるから、うちの子になりなさい」