【SW】向日葵は青空の太陽を見上げる

□上りたくない階段
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「ハァ…ハァ…」

本家から自転車で1時間。

毎日学校に自転車で通うのも辛くなってきた季節の7月。


「ただいま」

自転車を止め、家に入る。


「あら、おかえり」

丁度玄関の近くを畳んだ洗濯物を持った万理子が通った。


私は台所に行き、麦茶を飲む。


「はあ…」

「お昼はそうめんでいい?」

「うん」

傍で鍋に水を入れる万理子。


「通知表、見せてらっしゃい」

「はーい」


私は鞄から通知表を取り出すと、制服のままとある部屋に向かった。


長い廊下を歩き、とある部屋についた。

「ただいま帰りました」

「おや、おかえり」

部屋には陣内家16代目当主の陣内栄がいた。


本を読んでいた栄は本にしおりを挟むと名無美に向き直る。

名無美は栄の前に正座をし、通知表を差し出した。


「1学期の通知表です」

栄は通知表を手に取ると、中身を確認する。


「オール5か。大したもんだ。

 確かに確認したよ。1学期お疲れ様」

「はい」

「中学校生活はどうだい?」

「つまらないです。OZにいたほうが全然いいです」

「ふむ…通知表にも先生から『クラスでの人間関係を築くように』と書かれているね」

「社会での社交辞令はわきまえてます。

 中学校での人間関係はとくに重要ではないので」

「はあ…まったくあんたって子は…

 もういいよ。下がりなさい。

 お腹すいただろう」

「はい。失礼しました」

名無美は立ち上がり、部屋から出て行く。


名無美は部屋に戻る前にトイレに寄った。


「あ……」





ペタペタと名無美は居間に行くと、

万理子が出来上がったそうめんをテーブルに出していた。


「まだ着替えていないの?」

万理子がいまだに制服姿の名無美を見てそう言った。


「万理子さん。これ」

名無美は万理子にとあるものを差し出す。


「ん?何これ……あっ!!」

万理子は受け取ったものを広げると声を上げる。

驚いた顔をした万理子は数秒後に嬉しそうにほほ笑んだ。


「今夜は赤飯に決まりね」
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