【pdl】弱くても強く生きたい

□怖いんです。
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やがて、担任となる教師が入ってきて、皆が席に着く。





「はい。このクラスの仲間で1年間よろしくおねがいします。仲良くしていきましょう」



簡単な挨拶が終わる。


その後、皆は近くの席の子に話しかけはじめる。








「なあ」





私も話しかけられたらどうしよう…





「なあ」






今度こそ上手く受け答えできるかな







「なあって言うとるやん!!」


「!!?」



隣からの大きな声に体がビクリと反応する。


びっくりして心臓がドキドキ鳴りながら隣を見る。





「さっきから話しかけとるのに無視すんなや」


隣の赤い男の子はまっすぐ私のほうを見て…







「いや!あんたやって!!」

「!!」


私が赤い男の子のいる反対側の隣を見ると、再び聞こえた大きな声に体がビクッと跳ねた。



「あんた!そこの髪の毛短くてオドオドしとるあんたやで!!」


彼が見る方向に髪の毛短くてオドオドしてるのは私しかいない。


「ワイは鳴子章吉!大阪からはるばる千葉まで来たんやで!!」


「……………」


「そっちの名前!!」


「は、はい!」


また体が跳ねる。


「ビビリすぎや」


「私の…名前は…名無し…名無し子です…」

「よろしくな名無しさん」

「はい…」




ううっ…すっごい見られてる…

視線ガードにしてた長い髪が恋しい…。



やっぱり髪の毛切らないほうがよかったかな。


でも!髪の毛を切るってのは私が自分を変えるための第一歩!!




「カッカッカッ!!」


大きな笑い声にまた体が跳ねた。





「だからビビリすぎやって!名無しさんめっちゃおもろいな。ビクビクオドオドしとると思ったら、自分の世界に入って表情コロコロと変わるんやから」

私は顔をペタペタと触る。


私そんなに表情変わってたんだ…

初めて言われた…。



そりゃそうか…いつも髪の毛で顔隠してたようなもんだから。




「まあ、とにかくよろしくな」


そう言って差し出された手を私はソッと握った。
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