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□待ち続けたクリスマスの終わり
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■待ち続けたクリスマスの終わり
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サンタクロースが本当は居ないんだって、知っている。
でも、君とありえない体験をたくさん経験したせいか、もしかしたら世界の何処かには居るんじゃないかって、少しだけ思っていたりもする。

だからもしサンタクロースが居るのなら、僕の欲しい物をくれないかな?って思う。
僕が大人になるまで、後2・3回しかチャンスはないんだけどね。

海馬くんの会社が設置した大きな大きなクリスマスツリーを見上げながら、僕が願うのは君の幸せ。君の魂が安らかに眠る事。
もし転生できるのならば、今度は王という重責から離れ、普通の人生を自由に生きて欲しいな。君の心のままに。

綺麗事ばかりの願い事を 、口にしながら過ぎて行く、独りぼっちのクリスマス。

夜が更けるに従って、徐々に消えていくイルミネーションの灯り。
今年もまた、クリスマスが終わる。


「あーあ、今年もまた僕の所にはサンタクロースは来なかったなあ……」


夜空へと、吐き出す白い息と一緒に消えて行く僕の独り言。

気が付けばもう、タイムリミット。
成人式を来月に控えた僕は、もう子供ではない。
サンタクロースにプレゼントをねだる事のできない大人だ。

だからもう良いよね?
綺麗事じゃない、僕の本当に本当の願い事を……本当に欲しい物を口にしても。


「本当はね、僕。君が欲しいんだ」


君の幸せを願う気持ちも本当だけど……。


「君を独り占めして、ずっとずっと一緒に居たいんだ」


独りは……嫌だよ。


舞い散る粉雪が溶けて霙になって、僕の頬を濡らす。


「君に会いたい」


どれくらいそうしていたのだろう?
夜空を見上げていた首が痛くて、芯まで冷えた身体は雪まみれ。
寒いという感覚さえ無くなっていた。



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