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□臆病者の我儘な願い
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■臆病者の我儘な願い
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一度は受け入れた、お前との別れ。
二度目は受け入れられそうにない。


だからだろうか?


俺だけに見せる笑顔。

俺だけを追いかける視線。

誰より近くで囁かれる言葉。


お前の目が、仕草が、まとう空気が、俺を『愛している』と言う。


けれど俺は、敢えて目を逸らす。
お前の想いに、気がつかないふりをする。

はぐらかして、茶化して、明確な言葉を紡がせない。

本当は嬉しいのに、俺も同じだと、『愛している』と告げたいのに、俺はその想いから逃げ続ける。

一度の別れと二度の出会いを経て、いつの間にか俺は、愛さる事に臆病になっていた。

愛し愛される幸せに付きまとう、漠然とした不安。

お前を失うかもしれない明日に、怯えている。


自分勝手で我儘な願いが聞き届けられるのならば、どうか……待っていて欲しい。

俺がお前の想いを受け入れられる、その日を。


 

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