DREAM〜弱ペダシリーズ〜
□あい
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『おにいちゃん、"あい"ってなぁに?』
靖「ア゛ー…相手を大切に想う、温かい感情…じゃナァイ?」
名無しは可愛らしく眉間に皺を寄せた。
『おにいちゃんは"あい"かんじる?』
靖「感じるヨォ。」
そう言ってオレは名無しを抱き上げた。
靖「名無しにネェ。」
『わたしもぉ!』
コイツの名前は名無し。
オレの妹だ。
『おにいちゃんのこと、あいしてるよ!』
靖「あんがとネェ。」
ガチャ
尽「兄妹水入らずのところ悪いが、練習始まるぞ、荒北。」
『ぱちだぁ!』
尽「久しぶりだな、名無し!」
靖「オラ東堂、行くぞ。」
『…わたしひとり…?』
確かにそれは心配すぎる。
尽「それは大丈夫だ!名無しの事はファンクラブの子達が面倒を見ていてくれるらしい。」
『…わかった、いいこでまってる!』
尽「名無しは荒北と違って良い子だ!」
靖「ンだと!?」
『ありがとー。』
ニコニコと受け答えをする名無し。落ち着かないオレ。
『どうしたの、おにいちゃん?』
名無しに心配させてしまった。
靖「ヤ、何でもないヨォ。」
そうしてオレは練習に向かった。
尽「名無しはお前と違って可愛いな!」
隼「いや、靖友も可愛(殴」
靖「ッセ!」
寿「ム。名無しが来ているのか。」
靖「ゴメンネェ。また、オレの所に来ちゃって…。」
名無しは6歳にしては頭が良い(決して兄バカではなく)。だからたまに一人でオレの所に来てしまう事がある。
靖「…オレ6歳ン時、そんな行動力あったっけ…。」
『みんな、おつかれさま!』
寿「久しぶりだな。」
『フクちゃんだ!』
隼「名無し!」
『はやとー!』
さしずめ、名無しセラピー、といったところか。
皆の表情筋が緩んでる。
『さんがく!』
山「覚えてくれたの?嬉しいなぁ。」
『アブアブ!』
「「ブハッ!!」」
塔「アブ!?」
後輩も名前を覚えさせようと奮闘中だ。
『ユキ!』
雪「!!」
靖「オイ黒田!!ニヤつくンじゃネェ!!」
これが小説で良かった。
こんな気持ち悪ぃ黒田、見せなくない。
『みんな、あいしてる!』
((マジ天使!!))
靖「名無し!それは軽々しく言って良いモンじゃナイの!!」
『そうなの?』
寿「今日の練習はここまでだ!」
「「お疲れ様でした!!」」
『でした!!』
箱根学園 自転車競技部のアイドルは…。
オレの妹です。