DREAM〜弱ペダ短編〜
□Guard
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『だから…』
女「黙れよ!どうせ"部員は私のモノ〜"とか思っていい気になってんでしょ!?」
『そんな…!』
体育館裏に呼び出されて、いつものように罵られて、酷い時なんか暴力とかも。
まぁ慣れてるし良いけどね。
ガチャッ
『ごめ…救急箱貸して…。』
靖「ア゛ァ?…って、何だヨ、その怪我!!」
尽「名無し…何があったのだ!?」
『…転んだ。』
自転車競技部の部室に行くと、当たり前だがほとんどの部員がいた。
その中でも、幼なじみの隼人と、高一の時からの付き合いである靖友、尽八、寿一が駆け寄ってきた。
隼「名無し…またなのか?」
尽「また、とは?」
あ…隼人、余計なことを…。
隼「たまにこうやってボロボロで帰ってくるモンだから問い詰めた事があったんだけど…名無しは嫌がらせを受けてるんだよ。」
それを聞いた途端、皆の顔が歪んだ。
『…大丈夫だから心配しないで。』
靖「大丈夫なワケネェだろーが!!」
怒鳴る靖友の声は部室中に響き渡った。
その横で、私の目の前に寿一がしゃがみこんだ。
寿「…俺がやろう。」
そう言って私の手からピンセットを取り、消毒を始めてくれた。
塔「名無しさん、タオルどうぞ!」
雪「…氷も。」
続いて一つ下の後輩、泉田くんと黒田くんがタオルと氷をくれた。
『ありがと、二人とも。』
塔「アブッ!」
雪「…いえ。」
隼「それにしてもひどいな…。」
皆が苦い顔をしている。
その中で靖友が拳を固く握っていた。
『…靖友、"ふくちょらなぐっぱ"だよ。』
靖「ウッセ!!///」
隼「とりあえず名無しは何かあったら俺らに言う事。」
『はぁい…。』
女「ちょっとアンタ。着いてきなさいよ。」
あ…隼人達に言わなきゃ。
…なーんてね。言う訳無いでしょ。迷惑掛けたくないの。
『ゴホッ…!』
今日の相手は特に過激だ。
腹パンはキツくて、思わず膝をついてしまった。
女「アハハハ!!」
女「ねぇ、名無し?」
前髪を鷲掴みにされ、顔を上げさせられた。
女「"もう自転車競技部には近付きません"って誓いなさいよ。」
『い…やだ…!』
女「はぁ!?こいつ…!!」
女が右手を振り上げた。
立てないから逃げられそうにない。
私は目をギュッと閉じた。
パンッ
…あれ、痛くない…。
隼「名無し、目開けろ。」
『隼人…?』
目を開けると、私の目の前にしゃがみこんだ隼人。
女達に掴みかかりそうな靖友を止めながら女達を睨んでいる尽八。
寿一は置いてきたらしい。危ないからね。
靖「この…バァカチャン!!」
結局彼らに助けてもらった形で事態は収拾した。
尽「どうして俺らに言わなかったのだ?」
『…迷惑掛けたくなかったから…。』
隼「迷惑なんかじゃないさ。皆、名無しの事、助けたいんだぜ?」
『…うん。ありがと!』
「「!!///」」
私は皆に守られて無邪気に笑うんだ。