DREAM〜弱ペダ短編〜

□I wish, then...
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逢いたいな…。





七夕祭りが行われている駅前に1人、ぽつんと取り残されたかのように立つ私。

君が京都に生まれなければ、なんて理不尽な事を考えてみる。





彼との出会いは何年か前に自転車のレースを見に行った時の事であった。

ダントツで優勝を持っていった彼をじーっと見ていたら彼から声を掛けられた。

翔「…何やの、キミィ。」

『You were very fast!(速かったね、キミ!)…あ…。』

帰国子女だった私は日本語よりも英語の方が先に出てしまって…。
少しだけ恥ずかしくなってしまった。

翔「…おおきに。」

そんな私の気持ちを汲み取ってか、そっぽを向きながらそう言ってくれたキミに惹かれない訳が無かった。



翔「ププッ!また会うたねぇ。」

『あの!…連絡先、交換して貰っても良いですか?』

翔「…エエけど。」



翔「名無し、好きやから付き…」

『宜しくお願いします!』

翔「言い終わって無いんやけど…。」





『はぁぁあ…。』

京都府民である翔くんとはメール、電話、Lineなどでしか話せない。
会えるのは、こっちの方のレースに出場する時位だ。

『はぁぁぁあ…。』

翔「何や、溜め息ばっかり。キモいな。」

背後から聞き覚えのある声。
間違えるはずがない。だってこの声は…

『翔くん!?』

翔「久しぶりやね、名無し。」

『何でここに…。』

翔くんは京都に…。

翔「…名無しが寂しがっとると思うて。」

頬を擦りながらそっぽを向いたキミ。

それだけのために来てくれたの?

『…ありがと…!』

私は思いっきり翔くんに抱き付いた。

翔「引っ付くなや!///」





手を繋いでプラプラ揺らしながら二人で歩く。

『翔くん、私達織姫と彦星みたいだね。』

翔「はぁ?」

怪訝そうな顔を向けられ、少しだけショックを受ける私。

『…ほら、私達もなかなか会えないし…。』

翔「…あぁ、なるほどなぁ。」

翔くんが少し上を見上げた。それにつられて私も上を見上げる。

…あ、今日は綺麗な星空だ。

翔「…織姫と彦星なんかや無いよ。」

『…何で?』

翔「だってボク達はいつでも会えるやろ。…会いに来るよー、ボク。」

『ふ…ぇ!?///』

翔くんに見下ろされながら言われた台詞に私は狼狽えた。

翔「何や、そのアホ面。」

『だって…翔くんが…!///』

翔「ボクが何やねん。」

ププゥ、と翔くん独特の笑い方がやけに頭に響いた。
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