DREAM〜暗殺教室短編〜

□続・Guilty love
1ページ/2ページ

『ん…』

学「目が覚めた?」

ここ…そうだ、私…!

私が学秀を睨むと、彼は短く息を吐き出した。

学「…何か飲む?」

そう言って、私が寝ていたベッドサイドに座っていた学秀は立ち上がり、扉に向かった。

扉の前で立ち止まって、私の方を振り向いた。

学「…名無しは、アップルティーでいい?」

私が一番好きな飲み物…。覚えてたんだ…。

『うん…。』





学「…。」

『…。』

気まずい。さっきまであんなコトされてた訳だし…。

テーブルを挟んで二人で飲み物を飲む。正直、味わえないが。

学「…名無し。」

『…何?』

飲み物をどちらともなくテーブルに置く。

学「…すまなかった。」

そしてテーブルに頭がつく程、深く頭を下げた。

『…お兄ちゃん…!』

"あの"学秀が頭を下げている。
私は動揺した。

学「今までの事も…さっきの事も、許してほしい、とは言わない。いや、言えない。」

『頭…上げてよ。』

学秀はゆっくりと頭を上げた。

学「しかしこれだけは…名無しを好きでいる事だけは…許してくれないか…?」

苦しそうにお兄ちゃん…学秀は言う。
私まで苦しくなる。

どうして私はこうなるまで気がつかなかったんだろう…。



『許すも何も…私…学秀が好きだよ…。』



学「…は?」

学秀は(生まれて初めて)目を大きく見開いて、驚いた。

『"妹なんていない"って言われた時、毎日夢で見るくらい傷付いたよ。…お兄ちゃんに、好かれたかったんだよ。』

認めて欲しかったんじゃない。
妹じゃなくて、あの"瞳"に女として映りたかった。





学「…名無し、お迎えが来たみたいだ。」

学秀がそう言ったと同時に部屋の扉が勢いよく開いた。

業「名無し!」

『業…。』

私は泣き腫らした顔で業を見る。

業「!!…名無し…。」

学「名無し、赤羽と共に帰った方がいい。」

『何で…学秀……。』

業は目を軽く見開いて、哀しく笑った。



業「やっと自覚したんだ。」



『え…?』

業「自分の気持ち。」

学「…赤羽?」

業「名無しは、辛い時に一緒に居たオレの事を好きだと勘違いしてたんだよ。まぁ、オレはそれにつけ込んだんだけど。名無しはどこか苦しそうで、でも"ある時"だけ可愛い顔するんだー。」

『ある時?』

業「…浅野の姿を見かけた時、名無しは"女"の顔をするんだよね。」

学「赤羽…お前…。」

そう言って赤羽はボク達に背を向けた。

業「名無し…幸せにね。」

隣に居た名無しを見ると、ポロポロと泣いている。

『ありがと…ありがと、業…!』

そうして赤羽は部屋から出ていったのだった。



業「…ハァ〜…」

扉を閉めた途端、ズルズルとしゃがみこんだ。

業「最後まで名無しは…残酷だな〜…。」

"ありがと…ありがと、業…!"

業「…お幸せに…。」



『…学秀…?』

学「ちょっ…こっちを見るな!」

業が部屋から出ていってから、一向に目を合わせてくれない。

学「今絶対…ヤバイ顔してる…。」

『や、そんな事ないよ。』

暗殺で培った能力がここで役に立った。
音も無く、学秀の目の前に回り込んだ。

『へへ…私と一緒で"幸せ"って顔してる。』

学「名無しっ!…ハァ…そうだな。」










15年かけて成就させたこの気持ちだけは何があっても守るんだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ